施政方針演説
岸信介
1960年2月1日
第三十四回国会の休会明けに臨み、当面する諸問題と、これに対処する施政方針を明らかにしたいと思います。
まず、外交施策の基本に関して、私の所信を率直に披瀝いたしたいと存じます。
私は、このほど、日米両国間の相互協力と安全保障に関する条約等に署名のため訪米いたし、あわせてカナダを訪問の上帰国いたしたのであります。その際、米国におきましてはアイゼンハワー大統領及びハーター国務長官と、カナダにおきましてはディーフェンベーカー首相と親しく会談いたし、現在の国際情勢を検討するとともに、今後の日米、日加友好関係の強化、世界平和への努力等に関して十分に意見の交換を行なったのであります。
その際、私は、これら両国の首脳、特にアイゼンハワー大統領が世界平和のためになみなみならぬ熱意と決心とを有せられることに深い感銘を受けたのでありまして、同大統領が、来たるべき巨頭会談に際して、国際的緊張緩和のためにあらゆる努力を払うべき旨披瀝せられましたことは、まことに力強く感じたところであります。
近く東西巨頭会談を迎えようとする世界の趨勢は、自由主義社会と共産主義社会とが共存し得るための最小限度の共通の場を見出そうとする方向に向かっているのであります。しかも、この機運は、東西の集団安全保障を背景とする軍事的均衡のもとにかもし出されているのであります。従って、現在の段階におきましては、平和と共存への努力が実を結ぶことを強く希望しつつも、なお自由諸国がみずからのかたい決意と団結と力とを保つ必要を認めざるを得ないのであります。
今や、世界は人類の将来を決する上にきわめて重要な段階に入りつつあります。この時期にあって何よりも大事なことは、国際社会を形づくるすべての者が、口に平和を唱えるのみでなく、みずから平和への道を実践することであります。すなわち、すべての国家、国民がひとしく国連憲章の精神に徹底し、人間の尊厳と自由とを尊重しつつ、国際紛争はすべてこれを平和的に解決するという原則を実践することによって、初めて本来の意味における世界の雪解けも期待し得るということであります。
今回の訪米の際、アイゼンハワー大統領と私は、日米両国の現在の関係が、このような認識の上に、主権平等と相互協力の原則に基づいて結ばれたものであり、両国は、単に政治面におけるのみならず、経済面におきましても、ひとしくその利益を共通にするものであるということを、あらためて確認したのであります。ここに、日米両国の友好関係は、今日まで多少とも残存しておりましたその戦後的色彩を一掃し、全く新たな段階に入ったのであります。
今回署名いたしました両国間の相互協力及び安全保障条約は、世界のすべての国々が平和と自由とのために国連憲章の原則を厳格に実践し、自国の安全を国連の平和と安全を維持する機能にゆだねることができるようになるまでの間、理想と進路とを同じくする日米両国が、厳に国連憲章のワク内において真に対等の協力者として団結を強固にし、それぞれの国家及び国民の平和と安全とを擁護すべきことを約束したものであります。本条約は、国連憲章によって否認された侵略行為が発生しない限り、決して発動されることのない平和と自由のための条約なのであります。従って、両国が極東の平和と安全の確保に力を合わせますことは、そのまま、また世界平和の維持につながるものでありまして、両国のこのような努力が世界の緊張緩和の方向に逆行するものであるかのような見解は、本条約の本旨とする平和的目的を全く見誤ったものと申すべきであります。
私は、わが国外交の基調を、自由主義世界との緊密な提携に置いているのでありますが、もとより、これは決して共産主義の世界を敵視いたすものではありません。わが国は、自由主義世界の一員として、共産主義世界との共存の道を見出すための熱意と努力を欠くものではありません。ただ、平和と共存の道は、相互の立場の尊重と内政不干渉の原則が誠実に実践されることによってのみ可能であると確信いたします。わが国といたしましても、東西会談をもたらした世界情勢の推移を見守りつつ、平和外交の本旨に従い、あとう限り善隣外交を推進いたしますことは、私がつとに強く念願しているところであります。
さらに、今回の訪米に際しまして、米国政府との間に意見の一致を見ました点は、日米両国がアジアの発展のために今後とも一そう密接に協力すべきこと、及び、アジア問題の国際的討議にわが国が積極的に参加することが望ましいということであります。特に、低開発地域の経済的発展を促進することが世界平和に資するゆえんであるという認識の上に、わが国民が今後ともアジアの経済的発展のために果たすべき使命の重要性については、日米共同声明にも述べられているところであります。御承知のように、わが国は、本年初頭より国連経済社会理事会の理事国としてその活動を開始いたしたのでありますが、特に、国連を通じて低開発諸国の経済開発に協力いたしますことは、単にこれら諸国の繁栄と福祉に資するゆえんであるのみならず、同時にまた世界の平和とわが国自身の繁栄にも資するところ大なるものがあると信ずるのであります。
政府は、本年が真の意味の雪解けを世界にもたらし始める年であることを衷心念願いたしつつ、米国を初めとする自由民主主義諸国と相携え、平和を愛好する国際社会の一員として、いよいよ平和と自由のために積極的にその力をささげるべく、その決意を新たにするものであります。
顧みまするに、終戦後ここに十数年、この間、わが国の経済はたゆまざる国民の努力と英知とによって飛躍的な発展を遂げて参りました。すなわち、最近十年間の経済成長率は戦前の実績を上回り、欧米先進諸国に比しおよそ二倍の速度を示しており、それとともに国民生活も向上し、最近では、国民一人当たりの消費水準は戦前に比し三割強の上昇を示しております。このようにすみやかな経済の成長率は世界の驚異とされており、まことに同慶にたえないところであります。われわれは、この際、過去の輝かしい経済回復の足取りを回顧し、自信と誇りを持って今後の国力発展の施策を進めるべき時期に際会していると思うのであります。
最近の国内経済を見ますと、生産活動の上昇は著しく、国際収支は依然として黒字基調を維持し、これとともに雇用情勢は改善され、国民生活も一段と充実して参っております。しかしながら、最近の企業の根強い投資意欲や旺盛な資金需要にもかんがみ、政府といたしましては、今後、経済が行き過ぎに陥ることなく、引き続き全体として堅実な姿をもって伸張する配慮いたす所存であります。
また、世界経済は、本年もおおむね順調に推移するものと考えられますが、商品、資本などの国際流通の活発化による相互利益を増進するための貿易・為替自由化の動きは急速に進展しつつあります。わが国も、自由主義諸国の一員として、世界の大勢におくれをとることなく、貿易・為替の自由化を推進し、わが国経済の一そうの発展をはかっていく方針であります。これが推進に伴い、わが国産業の一部には多少の摩擦を生ずることもあろうかと思いますが、政府におきましては、自由化に対する所要の準備に遺憾なきを期しつつ施策を進めていきたい考えであります。民間企業におれても、国際競争力を強化するため、設備の近代化、自己資本の充実、経営の合理化など、体質の改善にあらゆる努力を傾注されるよう希望してやみません。
このような情勢のもとにおける今後の経済運営の基本的態度としては、経済の安定と均衡を堅持し、着実な経済成長を実現して参ることにありますが、なお、さらに長期的な観点から、今後おおむね十年間に国民所得を倍増し、もって雇用を改善し、国民経済と国民生活の均衡ある発展をはかるため、新しい経済計画の策定について現在準備を進めております。政府は、この計画の推進にあたりましては、各種産業間の跛行的発展の是正などに十分意を用い、経済全般が均衡のとれた発展を遂げるよう留意することはもちろんであります。
昭和三十五年度の予算と財政投融資計画は、右のような基本方針に基づき、財政の健全性を堅持し、財政面から経済に刺激を与えることを厳に避けたのであります。これとともに、この予算におきましては、当面の緊急課題である国土保全及び災害復旧対策に最重点を置き、その対策に遺憾なきを期したのでありますが、その他の重要経費につきましても、世界経済における貿易・為替自由化の大勢に即応しつつ、わが国経済を一そう安定した成長に導き、もって国民所得倍増の基礎的諸条件を整備するために、社会保障制度の充実、文教及び科学技術の振興、農業基盤の整備、中小企業対策、貿易の振興、東南アジアを中心とする海外経済協力の推進及び道路、港湾、工業用水等を主体とする産業基盤の強化などについて特に配慮を加える等、諸般の対策につき充実を期したのであります。
明年度予算の詳細については、これを関係閣僚の演説に譲り、私は、施策のおもなるものについて述べたいと思います。
まず、治山治水等国土の保全については、民生の安定、産業基盤の強化等の見地から、政府は、つとに施策の重点としてその促進をはかって参りましたが、昨年の大水害の経験にもかんがみ、明年度予算においてはこれらの国土保全事業を政府の最重点施策として取り上げ、新たな構想のもとに総所要経費一兆円余に及ぶ治山治水十カ年計画を樹立し、計画的かつ総合的に治山治水及び高潮対策事業の強力な推進をはかることにいたしております。なお、これらの事業を実施するため、治水特別会計の設置等必要な諸体制についても、あわせて整備する所存であります。
社会保障の充実は、かねて私が最も重視してきたところであります。昨年発足した国民年金制度は、本年三月、老齢・障害・母子の三福祉年金が実施される運びとなり、明年四月からは拠出制の国民年金制度が発足することとなりますが、政府は、この制度の運営の円滑な実施のため、所要の準備に遺漏なきを期する所存であります。昭和三十五年度末を目標とする国民皆保険の達成は、関係各方面の深い理解と協力とによりきわめて順調に進展を見ておりますが、医療金融公庫の設立、環境衛生諸施策の拡充と相待って、国民保健の向上への大きな飛躍が期待されるのであります。また、住宅問題についても、明年度は特に低額所得者の住宅供給に力を注ぎたい所存であります。
文教の振興は、わが国が世界の進運に伍して将来の繁栄を確保するための根本であります。いわゆるすし詰め学級解消のため、文教諸施策を整備し、教職員定数を充実するとともに、道徳教育を振興し、基礎学力を高める等、教育内容の刷新充実に遺憾なきを期したいと存じます。
世界各国の科学技術の進展は近年特に目ざましく、その影響するところは、政治・経済・外交等広く国政の各分野に及び、今や一国の経済成長と国民福祉の向上のかぎを握る重要因子であります。政府は、従来とも青少年に対する理科教育・産業教育の充実、大学・試験研究所の整備等に特別の留意を払っておりますが、特に明年度は、基礎科学の強化はもちろん、科学技術振興の長期的かつ総合的基本方策を樹立し、科学技術振興の確固たる体制を確立いたしたい決心であります。
農林漁業の振興については、その生産性の向上、農漁民の経済的安定等を目途として、将来にわたる基本政策を樹立する所存でありますが、当面、他産業との関係において均衡的発展をはかることに重点を置き、農業基盤の整備を強力に推進するとともに、農林水産物の価格の安定と流通の合理化には積極的措置を講ずることといたしております。なお、農漁村子弟対策を強化し、特に二、三男の就業機会の拡大をはかる考えであります。
中小企業については、政府は、つとにその振興策に力を注いで参ったのでありますが、明年度におきましては、さらに施策の飛躍的強化をはかるとともに、特に商工会の活用を中心として小規模事業者の事業活動の促進に意を用いる所存であります。
地方財政については、財政健全化のための諸施策の推進と経済状況の好転等と相待ち、ここ数年著しく改善されて参りました。今後とも、国家財政と地方財政との調整を保ちつつ、地方財政の長期的健全化の確立を期したい所存であります。幸い、明年度においては、地方税等に相当の自然増収が生ずる見込みでありますが、他方、住民税の減税に伴う地方歳入の減収も考えられますので、当分の間、所要の財源措置を講ずることといたしました。
雇用問題については、政府は、経済の安定的成長をはかるとともに、特に公共事業と財政投融資との増大により積極的な雇用の拡大を期したい考えであります。また、最近特に著しい技術革新に即応する近代的技能労働力の養成と確保との必要に対処し、職業訓練制度の積極的推進に努めるとともに、農漁村、石炭産業等の労働力移動を円滑にし、もって就業構造の近代化をはかりたいと思います。
わが国の労働運動が、労働者諸君の良識によって逐年健全化の道をたどりつつあることは、まことに同慶にたえません。わが国が世界の先進諸国に伍して繁栄を得るためには、労働者諸君が社会的責任を自覚し、公共の福祉を無視することなく、秩序正しくその正当な権利を主張し、行使するという健全な労働慣行と労働秩序の確立がはかられなければならないのであります。
遺憾ながら、今なお、労働運動あるいは大衆運動の一部には、法秩序を無視して、もっぱら政治闘争や権力闘争を推進することにより、その特殊な政治的意図の実現をはかろうとするものがあります。このようなことは、民主政治の基盤たる法治主義を否定するものでありまして、政府は、これに対し断固たる態度をもって臨む決意であります。また、前途有為な学徒諸君の一部に見られる暴力的破壊行動に対しては、特に深い反省を促すものであります。
思うに、わが国永遠の繁栄を期する政治の前提として忘れてならないのは、青少年と婦人の生活並びに文化の向上であります。政府は、社会教育の振興、スポーツの普及奨励、母子保健の充実はもちろん、青少年及び婦人、特に母性に対する諸施策を、社会・経済・文化のあらゆる分野において強力に推進する考えであります。わが国の将来をになう青少年諸君と婦人諸君が、明るい希望に燃えて心身の修練に励み、社会におけるめいめいの重要な役割を正しく自覚され、強い自信と誇りを持ってわが国の発展に貢献せられるよう念願してやみません。
以上申し述べたところで明らかなように、明年度予算の特色は、健全財政の線に沿って、政府及び与党の重要な公約をことごとく取り入れ、その実現をはかった予算であるということであります。私は、この予算の実施により、わが国の経済はいよいよ安定した成長発展を続け、国民所得倍増の基礎的諸条件は整備され、国民生活も向上し、雇用も拡大し、福祉国家の建設に巨歩を進めるものと確信いたす次第であります。
最後に、私は、民主政治のあり方について一言したいと存じます。
民主政治が真の成果を上げるためには、各政党が、国会という共通の場において、良識と寛容の精神に立脚して、あくまでも言論によって審議を尽くし、最終的には多数決によって決するという議会主義が根底になければならないと信ずるのであります。
しかるに、最近、国会における審議権を放棄して、話し合いの場から離脱することがしばしばであり、他面、院外においては、国会周辺における集団示威運動による言論府に対する不当の圧迫等が繰り返され、ために、国会運営の正常化が阻害されるのみならず、国会の神聖を傷つけ、議会政治の秩序を乱したことは、まことに遺憾のきわみと申さなければなりません。
この際、われわれは、議会主義に対する認識を新たにし、国会の権威を高め、憲政の常道を確立することについて、渾身の努力を尽くしたいと心から願うものであります。
ここに、所信の一端を述べ、国民諸君の一段の理解と協力を切望してやみません。
データベース「世界と日本」
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
[出典] https://worldjpn.grips.ac.jp/
시정방침연설
기시 노부스케
1960년 2월 1일
제34회 국회의 휴회의 끝을 맞이하여, 당면한 모든 문제와 이에 대처할 시정방침을 밝히고자 합니다.
우선, 외교정책의 기본에 관하여 제 소신을 솔직하게 피력하고 싶습니다.
저는 이번에 일미 양국간 상호협력과 안전보장에 관한 조약 등에 서명하기 위해 방미한 데 겸하여, 캐나다를 방문하고 귀국했습니다. 그 때, 미국에 관해서는 아이젠하워 대통령 및 하터 국무장관, 캐나다에서는 디펜베이커 수상과 친근하게 회담하여, 현재 국제정세를 검토함과 동시에, 앞으로의 일미, 일가(日加) 우호관계의 강화, 세계평화를 향한 노력 등에 관해 충분히 의견교환을 행하였습니다.
그때 저는 이들 양국 수상, 특히 아이젠하워 대통령이 세계평화를 위해 남다른 열의를 갖고 결심을 한 데 깊은 감명을 받아, 동 대통령이 오는 정상회담에서 국제적 긴장완화를 위해 모든 노력을 다할 뜻을 피력한 일은 참으로 든든하게 느꼈습니다.
머지않아 동서 거물급 회담을 앞둔 세계의 추세는, 자유주의 사회와 공산주의 사회가 공존할 수 있게 하기 위해 최소한도의 공통의 장을 찾아내려는 방향으로 향하고 있습니다. 더구나 그 기운은, 동서의 집단안정보장을 배경으로 한 군사적 균형 아래에서 형성되고 있습니다. 따라서, 현재 단계에서는, 평화와 공존을 위한 노력이 열매를 맺기를 강하게 희망하면서도, 또 모든 자유국이 스스로 두터운 결의와 단결과 힘을 가질 필요를 인정하지 않을 수 없습니다.
지금 세계는 인류의 장래를 결정짓는 매우 중요한 단계에 접어들고 있습니다. 이 시기에 있어 무엇보다도 중요한 것은 국제사회를 구성하는 모든 사람이 입으로 평화를 외치는 것이 아니라 스스로 평화로의 길을 실천하는 것입니다. 즉, 모든 국가, 국민이 하나같이 국제헌장의 정신에 철저히 준수하고, 인간의 존엄과 자유를 존중하며, 국제 분쟁은 모두 평화적으로 해결한다고 하는 원칙을 실천할 때 비로소 진정한 의미의 세계의 해빙을 기대할 수 있는 것입니다.
이번 방미 때, 아이젠하워 대통령과 저는 일미 양국의 현재 관계가, 이와 같은 인식 위에서, 주권평등과 상호협력의 원칙에 기초하여 맺어진 것이며, 양국은 단순히 정치적인 측면 뿐만 아니라, 경제 면에서도, 동일하게 그 이익을 공통으로 하고 있음을 다시금 확인했습니다. 이로써 일미 양국의 우호관계는 지금까지 어느정도 잔존해 있던 그 전후의 색채를 일소(一掃)하여, 완전히 새로운 단계로 들어간 것입니다.
이번에 서명한 양국 간의 상호협력 및 안전보장조약은 세계 모든 국가들이 평화와 자유를 위해 유엔헌장의 원칙을 엄격하게 실천하고, 자국의 안전을 유엔의 평화와 안전을 유지하는 기능에 맡길 수 있게 될 때까지, 이상(理想)과 진로를 같이 해 온 일미 양국이, 엄중히 유엔헌장의 틀 속에서 참으로 대등한 협력자로서 단결을 강고히 하고, 각각의 국가 및 국민의 평화와 안전을 옹호할 것을 약속한 것입니다. 본 조약은, 유엔헌장에 의해 부인된 침략행위가 발생하지 않는 한, 결코 발동하지 않을 평화와 자유를 위한 조약인 것입니다. 따라서 양국이 극동의 평화와 안전의 확보에 힘을 합치는 것은 그대로, 그리고 세계평화의 유지에 이어지는 것이며, 양국의 이러한 협력이 세계의 긴장완화의 방향에 역행하는 것은 아닐까 하는 견해는, 본 조약의 본질이 되는 평화적 목적을 완전히 잘못 본 것이라고 말씀드립니다.
저는 우리 나라 외교의 기조를 자유주의 세계와의 긴밀한 제휴에 두고 있습니다만, 이는 결코 공산주의 세계를 적대시하는 것은 아닙니다. 우리나라는 자유주의세계의 일원으로서, 공산주의세계와의 공존의 길을 찾기 위한 열의와 노력이 부족하지 않습니다. 다만, 평화와 공존의 길은 상호 입장의 존중과 내정 불간섭 원칙이 성실하게 실천되는 것에 의해 가능한 것이라 확신하고 있습니다. 우리나라로서도 동서회담을 가져온 세계정세의 추이를 지켜보면서, 평화외교의 본래 취지에 따라 가능한 한 선린외교를 추진하는 것은, 제가 일찍부터 강하게 영원하고 있었던 점입니다.
또한 이번 방미에서 미국 정부와의 사이에서 의견이 일치한 점은 일미양국이 아시아의 발전을 위해 앞으로도 더욱 더 밀접하게 협력해야한다는 것, 그리고 아시아 문제에 대한 국제적 토의에 우리나라가 적극적으로 참가하는 점이 바람직하다는 점입니다. 특히 저개발지역의 경제적 발전을 촉진하는 것이 세계 평화에 이바지하는 것이라는 인식 하에 우리 국민이 아시아의 결제 발전을 위해 앞으로 수행해야 할 사명의 중요성에 대해서는 일미 공동성명에도 명시되어 있습니다. 아시다시피 일본은 금년 초부터 유엔 경제사회이사회 이사국으로서 활동을 시작하였습니다만, 특히 국제연합을 통해 많은 저개발국의 경제개발에 협력하는 것은, 단순히 이러한 모든 국가의 번영과 복지에 이바지할 뿐만 아니라, 동시에 세계의 평화와 우리 나라 자신의 번영에도 크게 기여할 수 있다고 믿기 때문입니다.
정부는 올해가 참된 의미로서 세계적으로 해빙이 시작되는 해란 점을 마음 속 깊이 염두에 두고, 미국을 시작으로 한 모든 자유민주주의국들과 함께 평화를 애호하는 국제사회의 일원으로서 평화와 자유를 위해 적극적으로 그 힘을 보태고자 하는 결의를 새롭게 다지는 바입니다.
돌이켜보면, 종전 후 지금껏 십 수년 간, 우리나라 경제는 부단한 국민의 노력과 뛰어난 지혜로 비약적인 발전을 이루었습니다. 즉, 최근 십 년간의 경제 성장률은 전전(戰前)의 실적을 상회하여 다른 구미선진국들과 비교하여 약 두 배의 속도를 나타내고 있으며, 동시에 국민생활도 향상되어 최근에는 국민 1인당 소비수준이 전전에 비해 약 30% 이상의 상승을 나타내고 있습니다. 이러한 빠른 경제 성장 속도는 세계가 놀라워하고 있으며, 참으로 경이로운 일이 아닐 수 없습니다. 우리들은 이 기회에 과거의 빛나는 경제회복의 발자취를 되돌아보고, 자신감과 긍지를 갖고 앞으로 국력발전을 위한 시책을 계속해 나가야 할 시기를 맞이했다고 생각합니다.
최근의 국내경제를 보면 생산활동의 상승이 두드러지고 국제수지는 여전히 흑자기조를 유지하고 있으며, 동시에 고용정세는 개선되어 국민생활도 한층 더 충실해져가고 있습니다. 그러나 최근 기업의 뿌리깊은 투자의욕과 왕성한 자금수요를 감안할 때, 정부로서는 앞으로 경제가 과열되지 않고 전체적으로 견실한 모습으로 신장해 나갈 수 있도록 배려할 생각입니다.
또 세계경제는 올해도 대략 순조로운 추이를 보일 것으로 생각됩니다만, 상품, 자본 등의 국제유통이 활발해짐에 따라 상호 이익을 증진하기 위한 무역・환율 자유화의 움직임은 급속히 전진해 나가고 있습니다. 우리나라도 자유주의국가의 일원으로서 세계적 대세에 뒤늦지 않도록 무역・환율의 자유화를 추진하여, 우리나라 경제 발전을 한층 더 도모할 방침입니다. 이 추진에 따라 우리나라 산업 일부에서는 다소 마찰이 생길 수도 있다고 생각하나, 정부로서는 자유화에 대해 필요한 준비에 유감이 없도록 기하는 시책을 추진해가고 싶다고 생각합니다. 민간기업에 있어서도 국제경쟁력을 강화하기 위해, 설비 근대화, 자기자본 확충, 경영 합리화 등 체질 개선에 모든 노력을 쏟아부을 것을 희망하고 있습니다.
이러한 정세 하에서 향후 경제운영의 기본적인 태도는 경제의 안정과 균형을 견지하고 착실하게 경제성장을 실현해 가는 것이지만, 보다 장기적인 관점에서라면 앞으로의 대략 10년 간에 국민소득을 배로 증가시키고, 이를 통해 고용을 개선하고, 국민 경제와 국민 생활 사이에 균형 있는 발전을 도모하기 위해, 새로운 경제 계획의 책정에 대해 현재 준비를 해 나가고 있습니다. 정부는 이 계획의 추진에 있어서 각종 산업 간의 파행적 발전의 시정 등에 충분히 주의하여 경제 전반이 균형있는 발전을 이룩할 수 있도록 유의할 것임은 물론입니다.
쇼와35(1960)년도의 예산과 재정투융자계획은 위와 같은 기본방침에 따라 재정의 건전성을 견지하고, 재정면에서 경제에 자극을 주는 일을 엄중히 피한 것입니다. 이와 동시에, 이 예산에 있어서는 당면한 긴급과제인 국토안전 및 재해복구대책에 가장 중점을 두고, 그 대책에 유감없이 기한 것입니다만, 그 외 중요경비에 대해서도, 세계 경제의 무역・환율 자유화의 추세에 즉각 대응하면서 우리 나라 경제를 더욱 안정된 성장으로 이끌어, 이를 통해 국민소득을 배로 증가시킬 모든 기초적인 조건을 정비하기 위해, 사회보장제도를 충실, 문교 및 과학기술의 진흥, 농업기반의 정비, 중소기업대책, 무역 진흥, 동남아시아를 중심으로 한 해외 경제 협력 추진 및 도로, 항만, 공업용수 등을 주체로 하는 산업 기반의 강화 등에 대해 특히 배려하는 등, 제반 대책에 대해 충실을 기하였습니다.
내년도 예산의 자세한 내용은 관계각료의 연설에 맡기며, 저는 시책의 주된 점들에 대해서 말씀드리고자 합니다.
먼저 치산치수 등 국토 보전에 대해서는 민생 안정, 산업기반의 강화 등의 관점에서 정부는 일찍이 시책의 중점으로서 그 촉진을 도모해 왔습니다만, 작년 대수해의 경험에 비추어보아, 내년도 예산에는 이러한 국토보전사업을 정부의 최고 중점시책으로 내세워, 새로운 구상 아래 총 소요 경비 1조엔 정도에 달하는 치산치수 10개년 계획을 수립하고, 계획적이면서도 종합적인 치산치수 및 해일 대책사업의 강력한 추진을 계획하고 있습니다. 그리고 이 사업을 실시하기 위해 치수특별계획의 설치 등 필요한 모든 체제에 대해서도 함께 정비할 생각입니다.
사회보장의 확충은 예전부터 제가 가장 중시해온 것입니다. 작년 발족한 국민연금제도는 올해 3월, 노령・장애・모자의 3복지 연금이 실시되고, 내년 4월부터는 거출제(拠出制) 국민연금제도가 발족하게 되는데, 정부는 이 제도 운영의 원활한 실시를 위해 필요한 준비에 실수가 없도록 기할 생각입니다. 쇼와 35(1960)년도말을 목표로 하는 전국민보험의 달성은 관계 각 방면의 깊은 이해와 협력에 의해 매우 순조롭게 진전을 보이고 있습니다만, 의료금융공고(公庫)의 설립, 환경위생 제반 시책 확충과 더불어, 국민보건의 향상에 큰 비약이 기대되는 바입니다. 또한 주택문제에 대해서도, 내년도는 특히 저소득자의 주택공급에 힘을 쏟을 생각입니다.
문교 진흥은 우리나라가 세계적인 진보의 기운과 어깨를 나란히 하여 장래 번영을 확보하기 위한 근본입니다. 이른바 과밀학급의 해소를 위해, 문교 제반 시책을 정비하고, 교직원 정원을 충원하는 한편, 도덕교육을 진흥하고 기초학력을 높이는 등 교육 내용을 쇄신하고 충실도를 기하는 데 만전을 기할 것입니다.
세계 각국의 과학기술의 진전은 근년 특히 눈부시게 발전하여, 그 영향은 정치・경제・외교 등 폭넓게 국정의 각 분야에 미치고 있으며, 이제는 한 나라의 경제성장과 국민복지 향상을 위한 열쇠를 쥔 중요 인자입니다. 정부는 종래부터 청소년에 대한 이과교육・산업교육의 충실, 대학・시험연구소의 정비 등에 특별히 관심을 기울여 왔는데, 특히 내년도에는 기초과학 강화는 물론, 과학기술 진흥의 장기적이면서도 종합적인 기본 방책을 수립하여, 과학기술진흥의 확고한 체제를 확립하고자 결심한 바입니다.
농림어업의 진흥에 대해서는 생산성 향상, 농어민의 경제적 안정 등을 목표로 삼아, 장래에 이르는 기본정책을 수립할 생각입니다만, 당분간은 다른 산업과의 관계에서 균형적인 발전을 도모하는 데 중점을 두고, 농업기반의 정비를 강력하게 추진함과 동시에, 농림수산물의 가격 안정과 유통의 합리화에는 적극적으로 조치를 강구하기로 했습니다. 그리고 농어촌 자녀 대책을 강화하여 특히, 차남과 삼남의 취업기회의 확대를 기할 생각합니다.
중소기업에 대해서는 정부는 그동안 그 진흥책에 힘을 쏟아왔습니다만, 내년도에는 더욱 시책의 비약적 강화를 꾀함과 동시에, 특히 상공회의 활용을 중심으로 소규모 사업자의 사업활동 촉진에 신경을 쓸 생각입니다.
지방재정에 대해서는 재정건전화를 위한 각종 시책의 추진과 경제상황의 호전 등과 맞물려 최근 수년간 비약적으로 개선되어왔습니다. 앞으로도 국가재정과 지방재정의 조정을 지켜가면서, 지방재정의 장기적인 건전화의 확립을 기하고자 합니다. 다행히도, 내년도에는 지방세 등에 상당한 자연증수(増収)가 발생할 전망입니다만, 한편으로는 주민세의 감세에 동반되는 지방세입의 감수(減收)도 생각되므로, 당분간 필요한 재원조치를 강구하기로 했습니다.
고용문제에 대해서 정부는 경제의 안정적인 성장을 도모함과 동시에, 특히 공공사업과 재정투융자의 증대에 따른 적극적인 고용 확대를 꾀하고자 생각하고 있습니다. 그리고 최근 특히 현저한 기술혁신에 즉각 대응하는 근대적인 기능노동력의 양성과 확보를 필요로 하는 데 대처하여, 직업훈련제도를 적극적으로 추진하는 데 힘쓰는 동시에, 농어촌, 석탄사업 등의 노동력 이동을 원활하게 함으로써 취업구조의 근대화를 이루고자 생각합니다.
우리나라의 노동운동이 모든 노동자들의 양식(良識)에 따라 매년 건전화의 길을 찾아가고 있는 점은 매우 기쁘게 생각합니다. 우리나라가 세계 선진국들과 어깨를 나란히 하여 번영을 이룩하기 위해서는, 모든 노동자가 사회적인 책임을 자각하고, 공공 복지를 무시하는 일 없이, 질서정연하게 그 정당한 권리를 주장하고 행사하는 건전한 노동관행과 노동질서의 확립이 이루어져야만 하는 것입니다.
유감스럽게도 아직도 노동운동이나 대중운동의 일부에는 법질서를 무시하고, 정치투쟁이나 권력투쟁을 추진하여 특수한 정치적 의도를 실현하고자 하는 자들이 있습니다. 이러한 일은 민주정치의 기반이 되는 법치주의를 부정하는 것으로 정부로서는 이에 대해 단호한 태도로 임할 결의입니다. 또 전도유망한 학도들의 일부에서 보이는 폭력적인 파괴행동에 대해서는 특히 깊은 반성을 촉구하는 바입니다.
생각건대 우리나라의 영원한 번영을 기약하는 정치 전제로서 잊어서는 안 될 점은, 청소년과 부인의 생활 및 문화의 향상입니다. 정부는 사회교육 진흥, 스포츠 보급과 장려, 충실한 모자보건은 물론, 청소년 및 부인, 특히 모성에 대한 갖가지 시책을 사회・경제・문화 등 모든 분야에 걸쳐 강력하게 추진할 생각입니다. 우리나라의 장래를 짊어지게 될 모든 청소년과 부인들이 밝은 희망에 불타올라 심신을 수련하는 데 힘쓰고, 사회 속에서 제각기 중요한 역할을 바르게 자각하여, 강한 자신감과 긍지를 갖고 우리나라의 발전에 공헌할 수 있기를 염원하고 있습니다.
이상 말씀드린 것과 같이, 내년도 예산의 특색은 건전재정 노선에 다라, 정부 및 여당의 중요한 공약을 전부 받아들여, 그 실현을 도모하려는 예산입니다. 저는 이 예산 실시를 통해 우리나라 경제는 점점 안정된 성장발전을 계속해 나가고, 국민소득을 배로 하기 위한 모든 기초적 조건은 정비되며, 국민생활도 향상되고 고용도 확대되어 복지국가 건설을 향한 큰 걸음으로 향하는 것이라고 확신하는 바입니다.
마지막으로 민주정치 본연의 모습에 대해 한 말씀드리고 싶습니다.
민주정치가 진정한 성과를 거두기 위해서는, 각 정당이 국회와 공통의 자리에서 양식(良識)과 관용의 정신에 입각하여, 오직 언론에 의한 심의를 거쳐 최종적으로는 다수결에 의해 결정한다고 하는 의회주의가 근저에 있어야만 한다고 믿고 있습니다.
그런데 최근 국회에서 심의권을 포기하고 대화의 장에서 이탈하는 경우가 종종 있으며, 한편 원외에서는 국회 주변의 집단시위운동에 따른 언론부(言論府)에 대한 부당한 압박 등이 반복되어 이로 인해 국회 운영의 정상화가 저해될 뿐만 아니라, 국회의 신성성을 훼손하고 의회정치 질서를 어지럽힌 점은 매우 유감스럽다는 점을 말씀드리지 않을 수 없습니다.
이에 우리는 혼신의 노력의 다하여 의회주의에 대한 인식을 새로이 하고 국회의 권위를 높이고, 헌정의 상도(常道)를 확립하고자 마음 속 깊이 바라고 있습니다.
이에 소신의 일단을 말씀드리며, 국민 제군의 더 많은 이해와 협력을 한층 더 간절히 바라는 바입니다.
データベース「世界と日本」
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
[出典] https://worldjpn.grips.ac.jp/