施政方針演説
吉田茂
1951年10月12日
先般サンフランシスコにおいて、平和条約が三共産主義国以外の参加国との間に調印を終りましたことは、御同慶にたえません。
その前文において、日本は国際連合に加入し、国際連合憲章の原則を遵守し、人権を尊重し、公正な国際商慣習を尊重する意思を表明し、連合国はこれを歓迎することを明白にいたしております。日本国民の自発的宣言を記録し、喜んでこれを迎うるの形をとったことは、連合国において日本国民の意思を尊重し、これに信頼を置く証左でありまして、この条約のよって立つ精神を明らかにしたものであります。
条約の第一章は、戦争状態を終了し、日本の領域に対する日本国民の完全なる主権を認める旨を明らかにいたしております。
第二章は、日本の主権が四大島及び連合国の決定すべきその他の諸小島に限らるべきことを定めた降伏文書の第八項の原則に従って領土の処分を規定しております。日本は、朝鮮の独立を承認し、その他特定地域に対する権利、権原を放棄する。これらの地域の帰属が規定されていないのは、現在連合国の間に意見の一致を得られないからであるのであります。第三条に規定する北緯二十九度以南の南西諸島については、合衆国を施政権者とする信託統治制度のもとに置くことを規定し、同条は第二条のごとく、日本の権利、権原の放棄を明記いたしておりません。これらの諸島に対する主権が日本に残ることは、サンフランシスコにおいて米英代表が明言せられたところであります。
第三章は、安全保障に関する規定であります。日本は、国際連合憲章第二条の原則に従って行動すべきことを約束し、同時に連合国においても、日本との関係において同様の原則のもとに行動すべきことを明らかにいたしております。日本がただちに国際連合の一員となることができるならばこの規定の必要もないわけでありますが、大国による拒否権の行使のため資格ある諸国の国連加入が妨害されておる事情から考えまして、日本が安全保障の面において連合国とこのような関係に立つことを明記することを必要といたしたのであります。同時に、日本が主権国として国連憲章第五十一条にいう個別的または集団的の自衛権を有すること及び日本が集団的安全保障とりきめを自発的に結ぶことができるということを明らかにいたしております。なお、ポツダム宣言第九項で約束された帰還未了の日本軍隊の引揚げ実施の事務を、さらにこの条約において確認明記いたしております。
第四章、貿易及び通商の規定は、永久的な差別待遇を排除し、日本経済は何らの制限を受けない旨を明らかにいたしております。通商航海条約締結前四年の暫定期間中、連合国国民は、互恵的基礎において、関税に関して最恵国待遇、経済的活動については内国民待遇を受けることになっておるのであります。
第五章、賠償及び財産に関する規定において、日本が連合国に対し損害賠償支払いの原則を承認すると同時に、日本の現在の資源をもってその経済を維持し得る限度において負担する、すなわち賠償の限度を規定しておるのであります。日本軍隊の占領によって損害を受けた連合国に対し、日本人の役務を提供することによって賠償となすべきことを原則といたしているのであります。ダレス代表は、この規定をもって、正しい請求権に対しては精神的満足を与え、太平洋地域における健全なる政治及び経済と両立し得る物質的満足を最大限に与うる解決策であると言い、また日本は現在遊休労働力と遊休工業力とを有しているが、原料の不足のためにこれを活用できないでいる。従って、戦争で荒廃したこれらの国々が豊富に持っている原料を日本に提供し、日本人は原料供給国のために加工することができ、その上日本人の役務が提供されれば、相当の賠償を支払うことになるであろう、とりきめには、消費財のみならず、機械及び資本財も含まれ得るであろうし、これによって未開発国はその工業化の速度を早め、外国への工業上の依存度を軽くし得るであろう、と述べられておるのであります。
第六章は、紛争解決についての規定であります。
第七章は、批准、効力発生等の規定であります。その第二十六条は、この条約に署名しなかった国と日本との間に後日締結せらるべき二箇国間の平和条約の締結についての規定であります。中国については、連合国の間にその代表政府に関し一致が得られない困難な事情があり、さりとて連合国の間の意見が一致するまで対日講和を延期するということはできないことでありますから、後日日本と中国の間にこの条約と同様の平和条約を締結する道を開いておるのであります。
トルーマン大統領は、その歓迎の辞で、この平和条約は、過去を振り返るものでなく、将来を望むものであると言い、また、われ\/は新日本がゆたかな文化と平和に対する熱情とを持って国際社会にもたらすべき貢献に期待する、この貢献は年とともに増大するであろうと述べられ、ダレス代表もまた、この条約が、戦争から勝利、勝利から平和、平和から戦争へと歴史上繰返された悪循環を断ち切らんとするものである、復讐の平和ではなく、正義の平和であると言い、またヤンガー英国代表は、英国は伝統的に日本と利害を共通にし、日本国民に友情を持った、この伝統は、不幸過去二十年の間のできごとによって破られたが、今や日本との従前の友好関係をとりもどし得べきことを信ずるものである、英連邦は日本軍の残虐暴行を決して忘却するものでないが、この条約によって、連合国は、敵国にいまだかつて与えられたことのない寛大な条約を日本に与え、日本が自由と平和を愛好する諸国家の社会において正当なる地位へ復帰するよう日本を援助するものである、日本の多幸を祈る、と言われておるのであります。これらの論調は、サンフランシスコ会議の対日友好的感情を表明するものと存じますから、特にここに諸君に御報告いたす次第であります。
若干のアジア諸国は、日本の戦時中の残虐行為、戦災により生じた損害に対する賠償の履行を云々いたしております。またアメリカ、カナダ、豪州その他の諸国は、日本の漁船による濫獲等の既往の事跡に顧み、魚族保護のため漁業協定の迅速なる締結を希望し、さらにあるものは、日本の将来について、再侵略、軍国主義の復興ないし通商上の不当競争に対する危惧の念を表明せられたのであります。
私は、各国代表の意見陳述の後、所見を開陳する機会を与えられたのであります。私は、日本が欣然この平和条約を受諾するものであることを明らかにし、領土、経済、未引揚者等、平和条約について日本国民として陳述すべき所論を率直に述ぶるとともに、今日の日本は昨日の日本にあらず、国際連合憲章の精神の尊重と人権尊重の上に立って、列国とともに世界の平和と繁栄のために相協力して、その恵沢をともにせんとするものなることを明らかにいたしたいのであります。けだし、これは国民諸君の意ここにありと信じたから、かく述べたのであります。
戦争による損害賠償の義務の当然のことといたしましても、近代戦における敗戦国に、かような義務を完全に遂行する能力のないことは明白であります。ゆえに、ダレス代表は、全関係者を稗益する経済的仕組みのうちに正義の理念に奉仕する方式を主張せられ、日本はこれを欣然受諾いたしたのであります。しかる以上は、日本は誠意をもってこれが履行に当るべきであります。この趣旨は、私の受諾演説においても明らかにしておきました。これに伴う国民諸君の負担が重かるべきことは否定いたしませんが、わが国民の愛国心と、信義に徹するわが国民的性格は、この条約の義務を負うに決して異存はないと信ずるものであります。漁業問題についても同様であります。
一部代表の、平和克服後における日本の通商上の競争に対する危惧の念は、私が最も意外に感ずるところであります。また容易に納得いたし得ないところであります。受諾演説におきましても言及いたしました通り、領土の喪失、資源の不足、戦争による国土の荒廃、船腹の喪失、機械設備の損耗、さらに今後誠意をもって履行いたさんとする賠償の負担など、経済的にあらゆる不利な条件をになっておる敗戦日本に対し、他国が経済的に脅威を感ずるというがごときは、私ははなはだ了解ができぬところであります。日本の労働条件についても、トルーマン大統領及びダレス代表がその演説において強調された通り、占領下に断行された改革により、世界の最高水準を行く労働法制を整備しておるのであります。あまりに理想に過ぎてわが国情に適合せずとまで考えられるほど、前例の少きほどの高度の労働基準を設定いたしておるのであります。しかも平和条約において、日本は公正な国際商慣行を遵奉すべきことを誓約いたしておるのであります。しかして、なおわが貿易の海外進出をおそれ、わが自由活動を制限せんと欲する色あるは、私のます\/了解のできないところであります。
グロムイコ・ソ連代表は、日本の軍国主義の復活の防止が平和条約の締結にあたっての主要な仕事でなければならないにもかかわらず、この条約にはいかなる保障も含まれていないと評し、十三項にわたる修正案を提議いたした。これに対して、ダレス代表は、ソ連代表は日本における民主的傾向を阻害すべからずと言うが、ソ連のいう民主的傾向とは共産党のことであり、従って日本における共産党の破壊的活動を阻止すべからず、すなわち内部から日本を無防備にするねらいである。ソ連代表の日本に許す軍備は、名目にすぎない軍備を認めて、集団安全保障の利益を拒否するものである、日本をめぐる四つの海峡が、日本海に面する国の海軍、現実にはソ連の海軍にだけ通航を許すというがごときは、対内的にも対外的にも日本を無防備のままにしておき、近隣の強い力の犠牲にしようとする意図が明瞭に暴露されておる、と反駁されておるのであります。条約において、わが主権に何らの拘束を加えておりません。従って、日本がみずからの軍備を持つ道が平和条約でとざされておらないのであります。現実に日本としては、近代的軍備に必要な基礎資源を欠いており、再軍備のためにこの上増税をいたすことは、国民の耐え得るところではないのであります。さらに、今日の日本は、いまだ戦争の痛手からいえず、軍国主義、国家主義の再現への警戒は、いまなお怠っておるのではありません。かかる事実を前にして、ソビエト全権がわが国における軍国主義復活云々というのは、まことに根拠なき宣伝であります。
また日米安全保障条約は、平和条約と同日に署名されまして、これによって独立回復後の日本の安全について一応の保障を得るに至ったのであります。国内の治安は自力をもって当たるべきは当然でありますが、外部からの侵略に対して集団的防衛の手段をとることは、今日国際間の通念であります。無責任な侵略主義が跳梁する国際現状において、独立と自由を回復したあかつき、軍備なき日本が他の自由国家とともに集団的保護防衛の方法を講ずるほかなきは当然であります。日本が侵略主義の圏外に確保せられることは、とりもなおさず、極東の平和、ひいては世界の平和と繁栄の一前提であるのであります。これが日米安全保障条約を締結するに至った理由であります。
今日なお中立条約をもってわが独立を守らんと唱道するものがありますが、日本をめぐる国際情勢上、日本の中立について関係列国間に合意ができるものとも考えられません。また、かりに中立尊重の約束をなしても、その約束に信を置き得ない性格の国があることを忘れてはなりません。他方、国際連合による一般保障に活路を求めんとする者があります。国際連合は、世界最大の、また最高の安全保障機構でありますが、欧米列国においても、国際連合の保障に加うるに、補足的安全保障体制を整備しつつある現状であります。平和条約後における日本の安全保障の道として、平和愛好国との集団安全保障、すなわちこの際は日米条約による安全保障以外に方法はないと私は存ずるのであります。
安全保障条約の実施のために必要な細目は、今後日米両政府間に交渉をして取結ばれることになっております。その内容は将来決定されるところであって、国会に対しては、交渉が成立し、所要の予算または法案の審議を求める等の機会において、その内容は十分説明をいたします。
この条約による安全保障は、条約自身が規定しておるように、暫定的の措置であります。日本の永久的安全保障の道をどうすべきかということは、独立回復後において、政府及び国民が独自の見地に立って慎重考慮の上決定すべきものであります。
南西諸島の処理について、いまなお国民諸君の一部に不満の声を聞くのでありますが、日本は昭和二十年八月十四日に無条件降伏をし、領土の処分を連合国の手にゆだねたのであります。もちろん連合国がその最後の決定をなすにあたっては、わが国民の感情に沿うよう最善の努力をなされた結果到達されたものであります。国民の一部がいまなお釈然たらざる言動をなすことは、その心情を了といたしますが、外、連合国の好意と理解にこたえるゆえんでもなく、内、ポツダム宣言を敢然受諾をいたしたわが国民の当時の態度に比較いたして、わが国の威信に関するものと存じます。また日米両国の親善関係の樹立を妨げんとする悪意の策動に乗ぜらるるゆえとも考えらるるのであります。国民諸君が冷静に事態に対処して、米国政府の善意に信頼を置かれ、これら諸島の地位に関する日米両国間の協定の結果を静かに待たれるよう希望いたします。
平和条約の内容について、日本国民としては種々望むことがなおあるでありましょうが、歴史上前例のない公正な平和条約を得たことは、既往六年間敢然として降伏条項を履行して来た日本国民への信頼と期待がここに至ったのであります。この条約に宣明された日本の意思及び条約義務の完全な遵守、履行に今後最善の努力を傾けつつ、日本国民全体が協力一致して祖国再建に邁進せらるることを私は切望するものであります。アチソン議長は、閉会の辞において、日本の友人にとして、世界における平等と名誉と友好への大道に横たわる障害は、政府の手で取除き得るものはすべて取除かれた、残りの障害は、諸君のみがこれを取除き得る、諸君が理解と寛大と懇情とをもって他の諸国と行動するならば、それは可能である。これらの性質は日本国民の本性の中にある、と述べておるのであります。日本が世界において平等と名誉と友好の大道を邁進するやいなやは、一に国民諸君の自覚と奮起とにかかるのであります。
私は、関係諸国が進んで平和条約、日米安全保障条約の批准を了し、日本の完全なる独立が一日もすみやかに実現するために、わが国会にこの両条約の迅速なる審議と承認を希望いたしてやまないものであります。
財政について申し述べますが、平和条約に基づく、今後わが国の財政経済上の負担となるべき事項として、賠償、外貨債の支払い、連合国財産の損失補償等のほか、対日援助費の処理、防衛費の負担等、今後経済に重大なる影響を及ぼす問題の少くないのであります。これら条約に基く諸問題については、政府としては誠心誠意その処理に当たるはもちろん、一方わが国の経済力の現況から見て、これら負担が国民の生活水準に重大な圧迫を加えることのないよう万全の努力を払う所存であります。
補正予算については、今国会に提出する昭和二十六年度補正予算において、従来の健全財政の根本方針を堅持するとともに、最近における主食等の値上げに基づく生計費の増加に応じて所得税負担の適正化をはかることとし、さらに公務員の俸給の改善をはかる等の措置を実施いたします。産業の開発促進のため必要の資金の確保についても配慮を加うる考えであります。
行政の簡素化については、すでに一昨年相当規模の行政整理を断行いたしましたが、いまだ行政機構及び人員が、戦前に比較いたしますると、昭和七年の公務員が五十九万人であったのに対し、現在百五十二万人であるというような顕著な増加となっておるのであります。よってこの際、わが国の国力に適応するとともに、近代文化国家の運営に真に必要な簡素強力な行政内容を基礎として、これを能率的に運営するにふさわしき機構と人員にいたしたいと考うるのであります。これがため、まず事務の簡素化をはかり、また人員についても、現定員に対し、とりあえず十二万人程度を、来年一月一日より六箇月間の期間に整理することといたしました。これが実施のため必要な法律案を本国会に提出するとともに、政府関係機関については所要の予算上の措置を提案する所存であります。なお本整理による退職者については、財源の許す範囲で退職金等の増加支給に考慮をいたします。その失業対策としても、できるだけの手段を尽す考えであります。
なお政府として、国会、裁判所、会計検査院等の独立機関についても、国一般の行政官庁に準じて人員の整理を断行するよういたしたいと存ずる次第であります。
地方財政について——政府は、地方行政の改革についても、中央の行政改革に対応し、ただいま具体案を検討中であります。
食糧問題及び農林水産業について——食糧事情は今や安定した状態になったのに顧み、政府はすみやかに現行の主食の管理統制制度を撤廃する方針を決定いたしました。よって今後も農林水産業の生産の増強をはかりたいと存ずるのであります。
データベース「世界と日本」
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
[出典] https://worldjpn.grips.ac.jp/
시정방침연설
요시다 시게루
1951년 10월 12일
지난번 샌프란시스코 평화조약이 공산주의 삼국 이외의 참가국 사이에서 조인을 마친 것은 기쁘기 그지없습니다.
조약의 전문(前文)에서 일본은 국제연합에 가입해서 국제연합헌장의 원칙을 준수하고 인권을 존중하며, 공정한 국제 무역 관행을 존중한다는 의사를 표명했고, 연합국은 이를 환영한다는 것을 분명히 했습니다. 일본 국민의 자발적인 선언을 기록하고, 기쁘게 이를 받아들이는 형태를 취한 것은 연합국에서도 일본 국민의 의사를 존중하고 이를 신뢰한다는 증거이며 이 조약이 지향하는 정신을 분명히 한 것입니다.
조약의 제1장은 전쟁 상태를 종료하고, 일본의 영역에 대한 일본 국민의 완전한 주권을 인정한다는 취지를 밝히고 있습니다.
제2장은 일본의 주권은 4대섬 및 연합국이 결정한 기타 모든 소도(小島)에 한정됨을 정한 항복문서 제8항의 원칙에 따라 영토의 처분을 규정하고 있습니다. 일본은 조선의 독립을 승인하고, 기타 특정 지역에 대한 권리, 권원(権原)을 포기한다. 이 지역의 귀속이 규정되지 않은 것은 현재 연합국 사이에 의견이 일치되지 않았기 때문입니다. 제3조에서 규정한 북위 29도 이남의 난세이 제도(南西諸島)에 대해서는, 합중국을 시정권자로 한 신탁통치제도 하에 둘 것을 규정하고, 동 조항은 제2조와 같이 일본의 권리와 권원(權原)의 포기를 명기하고 있지 않습니다. 이들 제도에 대한 주권이 일본에 남아있다는 점은 샌프란시스코에서 미 영대표가 밝힌 바 있습니다.
제3장은 안정보장에 관한 규정입니다. 일본은 국제연합헌장 제2조의 원칙에 따라 행동할 것을 약속하고, 동시에 연합국도 일본과의 관계에서 같은 원칙에 따라 행동할 것을 밝히고 있습니다. 일본이 바로 국제연합의 일원이 될 수 있다면 이 규정도 필요하지 않을 것이지만 대국(大國)의 거부권 행사로 인해 자격이 있는 국가들의 국제연합 가입이 방해받고 있다는 사정을 고려하여, 일본이 안전보장의 측면에서 연합국과 이러한 관계에 있는 것을 명기하는 것이 필요했습니다. 동시에 일본이 주권국으로서 국제연합헌장 제51조에서 말하는 개별적인 혹은 집단적인 자위권을 갖는 것 그리고 일본이 집단적 안전보장에 관한 결정을 자발적으로 맺을 수 있음을 분명히 하고 있습니다. 또 포츠담 선언 제9항에서 약속된 미귀환 일본 군대 귀환 실시 사무를 이 조약에서 확인명기하고 있습니다.
제4장 무역 및 통상 규정은 영구적인 차별대우를 배제하고, 일본 경제는 어떠한 제한도 받지 않는다는 취지를 분명히 하고 있습니다. 통상항해조약 체결 전 4년의 잠정기간 중 연합국 국민은 호혜적 기초에서 관세에 관해서 최혜국 대우, 경제적 활동에 대해서는 내국민 대우를 받는 것으로 되어 있습니다.
제5장 배상 및 재산에 관한 규정에서 일본이 연합국에 대해 손해배상을 한다는 원칙을 승인하는 동시에, 일본의 현재 자원으로 그 경제를 유지할 수 있는 한도에서 부담하는, 즉 배상 한도를 규정한 것입니다. 일본 군대의 점령으로 인해 손해를 입은 연합국에 대해, 일본인의 노동(役務)을 제공하는 것으로 배상함을 원칙으로 하고 있습니다. 덜레스(John Foster Dulles) 대표는 이 규정이 정당한 청구권에 대해서는 정신적인 만족을 주면서, 태평양 지역의 건전한 정치 및 경제와 양립할 수 있는 물질적 만족을 최대한으로 줄 수 있는 해결책이며 또한 일본은 현재 유휴 노동력과 유휴 공업력을 갖고 있으나, 원료 부족으로 인해 이를 활용할 수 없다. 따라서 전쟁으로 황폐해진 국가들이 풍부하게 갖고 있는 원료를 일본에 제공하고, 일본인은 원료 공급국을 위해 가공할 수 있기에, 여기에 일본인의 노동이 제공된다면 상당한 배상을 지불할 수 있게 될 것이며, 약정에는 소비재뿐 아니라 기계 및 자본재도 포함될 수 있을 것이다, 이에 따라 미개발국은 공업화의 속도를 빠르게 하여, 외국에 대한 공업 의존도를 가볍게 할 수 있다고 설명하고 있습니다.
제6장은 분쟁 해결에 관한 규정입니다.
제7장은 비준, 효력 발생 등의 규정입니다. 제26조는 이 조약에 서명하지 않은 나라와 일본 사이에 후일 체결될 2개국 간의 평화조약 체결에 대한 규정입니다. 중국에 대해서는 연합국 사이에서 대표 정부에 관해 일치되지 않은 곤란한 사정이 있고, 그렇다고 연합국 사이의 의견이 일치될 때까지 대일 강화를 연기할 수도 없으므로, 후일 일본과 중국 사이에 이 조약과 같은 평화조약을 체결할 길을 열어 두는 것입니다.
트루먼 대통령은 환영사에서 이 평화조약은 과거를 돌아보는 것이 아닌, 장래를 내다보는 것이며, 또 우리는 신 일본이 풍요로운 문화와 평화에 대한 열의를 갖고 국제사회에 가져달 줄 공헌을 기대하며, 이 공헌은 해마다 증대될 것이라고 이야기하였고, 또한 덜레스 대표도 이 조약은 전쟁에서 승리, 승리에서 평화, 평화에서 전쟁으로 역사상 반복되었던 악순환을 끊어내려는 것이며, 복수(復讐)의 평화가 아닌 정의의 평화라고 말했으며, 또한 영거(Kenneth Younger) 영국대표는 영국은 전통적으로 일본과 이해를 같이 해왔으며, 일본 국민에게 우정을 가지고 있으나 이 전통은 불행히도 과거 20년 간의 사건으로 깨졌지만 지금은 일본과 종전의 우호관계를 회복할 수 있다고 믿는다, 영연방은 일본군의 잔학한 폭행을 결코 잊을 수는 없을 것이나, 이 조약에 따라 연합국은 적국에 일찍이 베풀었던 적이 없는 관대한 조약을 일본에 부여해서, 일본이 자유와 평화를 애호하는 국제 사회에서 정당한 지위로 복귀할 수 있도록 일본을 원조하는 것이다, 일본의 행복을 기원한다, 고 말하고 있습니다. 이러한 논조는 샌프란시스코 회의의 대일 우호적인 감정을 표명한 것으로 생각되므로 특별히 이곳에 모인 여러분에게 보고합니다.
몇몇 아시아 국가는 전시 중 일본의 잔학 행위, 전쟁 재해로 발생한 손해에 대한 배상 이행을 운운하고 있습니다. 또한 미국, 캐나다, 호주 기타 국가는 일본 어선의 남획 등 지난 일을 되돌아보며, 어족 보호를 위해 어업협정의 신속한 체결을 희망하고 있으며, 일부는 일본의 장래에 대하여 재침략, 군국주의의 부흥 또는 통상상의 부당경쟁에 대한 의구심을 표명하고 있습니다.
저는 각국 대표의 의견 진술 후, 소견을 개진할 기회를 얻었습니다. 저는 일본이 흔연히 이 평화조약을 수락한 것을 밝히며, 영토, 경제, 미귀환자 등 평화조약에 대해 일본 국민으로서 진술해야 소론을 솔직하게 밝히는 동시에, 오늘의 일본은 어제의 일본이 아니라 국제연합헌장의 정신을 존중과 인권 존중 위에 서서, 열국과 함께 세계 평화와 번영을 위해 서로 협력하며, 그 혜택을 함께하고자 할 것을 분명히 하고 싶습니다. 생각건대 이는 국민 모두의 뜻이 여기에 있다고 믿었기 때문에 이렇게 말하는 것입니다.
전쟁으로 인한 손해 배상 의무는 당연한 것이지만, 근대전에서 패전국이 그러한 의무를 완전하게 수행할 능력이 없다는 것은 명백합니다. 그렇기 때문에 덜레스 대표는 모든 관계자가 이익이 되는 경제적 구조속에서 정의의 이념에 봉사하는 방식을 주장했고, 일본은 이를 흔쾌히 수락했습니다. 그렇게 한 이상, 일본은 성의를 갖고 이것을 이행해야 할 것입니다. 그 취지는 저의 수락 연설에도 밝혀 두었습니다. 이에 따라 국민 여러분의 부담이 무거워지는 것은 부정할 수 없지만, 우리 국민의 애국심과 신의에 투철한 국민적 성격은 이 조약의 의무를 짊어지는 것에 결코 이의가 없으리라 믿고 있습니다. 어업문제 대해서도 마찬가지입니다.
일부 대표의 평화 극복 후 일본 통상상의 경쟁에 대한 의구심은 제가 굉장히 의외라고 느꼈던 점입니다. 또한, 쉽게 납득할 수 없는 점이었습니다. 수락 연설에서도 언급한 바와 같이, 영토의 상실, 자원 부족, 전쟁으로 인한 국토의 황폐화, 선박 상실, 기계설비의 손상, 게다가 이후 성의 있게 이행하고자 하는 배상 부담 등, 경제적으로 모든 불리한 조건을 짊어진 패전 일본에 대해, 타국이 경제적인 위협을 느낀다고 하는 것은 저는 도저히 이해가 되지 않습니다. 일본의 노동조건에 대해서도 트루먼 대통령 및 덜레스 대표가 연설에서 강조한 것처럼, 점령하에서 단행된 개혁으로 인해 세계 최고수준의 노동법제를 정비하고 있습니다. 너무나도 이상적이어서 우리 나라 실정에 적합하지 않다고까지 생각될 만큼, 전례가 적은 고도(高度)의 노동기준을 설정하고 있습니다. 더구나 평화조약에서 일본은 공정한 국제상거래관행을 준수할 것을 서약하고 있습니다. 그런데도 우리 무역의 해외 진출을 두려워하여, 우리의 자유 활동을 제한하려는 기색이 있는 것이 저는 더욱이 이해가 가지 않습니다.
그로미코(Andrei Andreyevich Gromyko) 소련 대표는 일본의 군국주의 활동 방지가 평화조약의 체결에 있어 주된 것임에도 불구하고, 이 조약에는 어떠한 보장도 포함되어 있지 않다고 평하며, 13항에 걸친 수정안을 제의했다. 이에 대해 덜레스 대표는, 소련 대표는 일본의 민주적 경향을 저해해선 안 된다고 말하고 있지만, 소련이 말하는 민주적 경향이란 공산당을 말하는 것이며, 따라서 일본에 있는 공산당의 파괴적 활동을 저지하지 않는, 즉 내부에서 일본을 무방비 상태로 만들려는 목적이다. 소련 대표가 일본에 허락하는 군비(軍備)는 명목에 불과한 군비를 인정하고, 집단안전보장의 이익을 거부하는 것이다, 일본을 둘러싼 4개 해협이 일본해에 인접한 나라의 해군, 실제로는 소련의 해군에게만 항해를 허용하는 것은, 대내적으로나 대외적으로나 일본을 무방비 상태로 두고, 이웃의 강한 힘에 희생되게 하려는 의도가 명료하게 드러나고 있다, 고 반박하고 있습니다. 조약에서 우리 주권에 그 어떤 구속도 가하고 있지 않습니다. 따라서 일본이 스스로 군비를 갖추는 길이 평화조약에서 닫혀있는 것은 아닙니다. 현실적으로 일본으로서는 근대적 군비에 필요한 기초자원이 부족하고, 재군비를 위해 이 이상 증세를 하는 것은 국민이 견딜 수 있는 것이 아닙니다. 더구나 오늘의 일본은 아직 전쟁의 상처가 아물지 않았으며, 군국주의, 국가주의의 재현에 대한 경계를 지금도 게을리하지 않고 있습니다. 이러한 사실을 앞에 두고, 소비에트 전권(全權)이 우리나라에서 군국주의 부활을 운운하는 것은 그야말로 근거 없는 선전입니다.
또한, 일미 안전보장조약은 평화조약과 같은 날에 서명되어, 이에 따라 일단 독립 회복 후 일본의 안전에 대해 보장받게 되었습니다. 국내의 치안을 자력으로 해결하는 것은 당연합니다만, 외부의 침략에 대해 집단적 방위 수단을 갖는 것은 오늘날 국제적 통념입니다. 무책임한 침략주의가 날뛰는 국제정세속에서 독립과 자유를 막 회복하기 시작하여 군비가 없는 일본으로서는 다른 자유 국가와 함께 집단적 보호 방위의 방법을 강구하는 것 외에는 방법이 없는 게 당연합니다. 일본이 침략주의의 영향권에서 벗어나는 것은 무엇보다도 극동의 평화, 나아가서는 세계 평화와 번영에 한 가지 전제입니다. 이것이 일미 안전보장조약을 체결하게 된 이유입니다.
오늘날에도 여전히 중립조약을 통해 우리의 독립을 지키자는 주장이 있지만 일본을 둘러싼 국제정세상, 일본의 중립에 대해 관계 열국 사이에서 합의가 이루어질 것이라고는 생각할 수 없습니다. 또 가령 중립을 존중하기로 약속을 했다고 하더라도, 그 약속을 믿을 수 없는 성격의 나라가 있다는 것을 잊어서는 안됩니다. 한편, 국제연합의 일반 보장에서 활로를 찾으려는 자도 있습니다. 국제연합은 세계 최대이자 최고 안전보장기구이지만, 구미열강에서도 국제연합의 보장에 더해서, 보완적 안전보장체제를 정비하고 있는 실정입니다. 평화조약 후 일본의 안전보장을 위한 길은 평화 애호국과의 집단적 안전보장, 즉 지금으로서는 일미조약에 따른 안전보장 외의 방법은 없다고 생각합니다.
안전보장조약의 실시를 위해 필요한 세목(細目)은 향후 일미 양쪽 정부 간의 교섭을 통해 체결하기로 되어 있습니다. 그 내용은 장래에 결정될 것으로, 국회에 대해서는 교섭성립 후, 필요한 예산 또는 법안 심의를 하는 등의 기회를 통해 그 내용에 대해 충분히 설명을 드리겠습니다.
이 조약에 따른 안전보장은 조약 자체가 규정하고 있는 것과 같이 잠정적인 조치입니다. 일본의 영구적인 안전보장의 길을 어떻게 할 것인가라는 점은 독립을 회복한 후에 정부 및 국민이 독자적인 견지에서 진중하게 고려하여 결정해야 할 것입니다.
난세이 제도(南西諸島)의 처리에 대해서는 지금도 일부 국민들로부터 불만의 목소리가 들리지만, 일본은 1945년8월 14일에 무조건 항복을 함으로써, 영토의 처분을 연합국의 손에 맡겼습니다. 물론 연합국은 그 최종 결정을 내리는데 있어서는 우리 국민감정에 따르고자 최선의 노력을 한 결과 도달한 것입니다. 일부 국민은 이에 대해 아직도 석연치 않은 언동을 하고 있는 것은 그 심정을 이해합니다만, 밖으로는 연합국의 호의와 이해에 답하는 것도 아니며, 안으로는 포츠담 선언을 과감히 수락한 우리 국민의 당시의 태도와 비교할 때 우리나라 위신에 관한 것이라고 생각합니다. 또 일ㆍ미 양국의 친선관계 수립을 방해하려는 악의적 책동에 휘말려서라고도 생각됩니다. 국민 여러분이 냉정하게 사태에 대처하고, 미국 정부의 선의를 신뢰하고, 각 섬의 지위에 관한 일ㆍ미 양국 간의 협정 결과를 차분히 기다려 주시기를 희망합니다.
평화조약의 내용에 대해서 일본 국민으로서는 여러가지로 바라는 점이 더 있겠지만, 역사상 유례없는 공정한 평화조약을 얻은 것은 지난 6년간 감연히 항복 조항을 이행해온 일본 국민에 대한 신뢰와 기대가 여기에 이르렀기 때문입니다. 이 조약에 천명된 일본의 의사 및 조약 의무의 완전한 준수와 이행에 앞으로 최선의 노력을 기울이면서, 일본 국민 전체가 일치협력해서 조국 재건에 매진할 것을 저는 간절히 바라고 있습니다. 애치슨(Dean Gooderham Acheson) 의장은 폐회사에서 일본의 친구로서, 세계의 평등과 명예와 우호로 가는 큰길을 가로막는 장애물은 정부의 손으로 제거할 수 있는 것은 모두 제거되었다, 남은 장애는 여러분만이 이를 제거할 수 있다, 여러분이 이해와 관대함과 친절한 마음으로 다른 나라와 함께 행동한다면 그것은 가능할 것이다. 이러한 성질은 일본 국민의 본성 속에 있다, 고 이야기하고 있습니다. 일본이 세계에서 평등과 명예와 우호의 큰길에 매진하느냐 마느냐는, 우선 국민 모두의 자각과 분발에 달려있는 것입니다.
저는 관계 각국이 기꺼이 평화조약, 일ㆍ미 안전보장조약의 비준을 끝내서, 일본의 완전한 독립을 하루라도 빠르게 실현하기 위해, 우리 국회에서 이 두 조약을 신속하게 심의하고 승인하기를 희망해마지 않습니다.
재정에 대해서 말씀드리면, 평화조약에 기초해 향후 우리나라의 재정경제상의 부담이 될 사항으로는 배상, 외화채의 지불, 연합국 재산의 손실 보상 등 외에 대일 원조비 처리, 방위비 부담 등 앞으로 경제에 중대한 영향을 미칠 문제가 적지 않습니다. 이 조약에 근거한 제반 문제에 대해 정부에서는 성심성의껏 그 처리에 임하는 것은 물론, 한편으로는 우리나라의 경제력 현황을 감안하여, 이 부담이 국민 생활수준에 중대한 압박을 가하지 않도록 만전의 노력을 기울일 것입니다.
추경예산(補正予算)에 대해서는, 이번 국회에 제출하는 1951년 추경예산에서 종래의 건전재정의 근본방침을 견지하는 한편 최근 주식(主食) 등의 가격 상승에 근거한 생계비의 증가에 따라 소득세 부담의 적정화를 도모할 것이며, 공무원 봉급의 개선을 도모하는 등의 조치를 실시할 것입니다. 산업 개발의 촉진을 위해 필요한 자금 확보에 대해서도 배려를 생각하고 있습니다.
행정 간소화에 대해서는 이미 재작년에 상당 규모의 행정 정리를 단행했는데, 아직도 행정기구 및 인원이 전쟁 전과 비교해보면, 1932년 공무원이 59만 명이었던 것에 비해 현재 152만 명이라는 현저한 증가를 보이고 있습니다. 따라서 지금 우리나라의 국력에 맞추는 동시에 근대 문화국가 운영에 진정으로 필요한 간소하고 강력한 행정내용을 기초로 해서, 이를 능률적으로 운영하는 데 적합한 기구와 인원으로 하고자 합니다. 이를 위해 먼저 사무 간소화를 도모하고, 인원도 우선 현 정원에서 우선 12만명 정도를 내년 1월 1일부터 6개월 동안 정리하기로 했습니다. 이를 실시하기 위해 필요한 법률안을 본 국회에 제출함과 동시에, 정부 관계 기관에 대해서는 소요예산 상의 조치를 제안할 생각입니다. 또한 본 정리로 인한 퇴직자에 대해서는 재원이 허용하는 범위 안에서 퇴직금 등의 증가 지급을 고려하고 있습니다. 실업 대책에 대해서도 가능한 모든 수단을 강구할 생각입니다.
또 정부는 국회, 재판소, 회계검사원 등의 독립기관에 대해서도 국가 일반 행정관청에 준하는 인원 정리를 단행할 것을 검토하고 있습니다.
지방재정에 대해 -- 정부는 지방행정 개혁에 대해서도 중앙행정 개혁에 대응해, 현재 구체적인 안을 검토 중에 있습니다.
식량 문제 및 농림수산업에 대해서 -- 식량사정은 지금은 안정적인 상태가 된 것을 감안해, 정부는 신속히 현재의 주식 관리통제제도를 철폐하기로 결정했습니다. 따라서 이후에도 농림수산업의 생산 증강을 도모하고자 합니다.
データベース「世界と日本」
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
[出典] https://worldjpn.grips.ac.jp/