施政方針演説
池田勇人
1964年1月21日
国民の一人一人が働く意思とすぐれた創造力を自由に遺憾なく発揮し、豊かで平和な生活を営み得る社会をつくることは、政治の究極の目標であります。
このためには、疾病、失業、老齢を原因とする貧困と不幸に対し、社会保障が確立され、この基礎の上に、民族的創造力が躍動し、不断に進歩と成長が約束される国の実現が必要であります。
ここでは、個人の尊重と自由が守られつつも、社会連帯の意識、公共奉仕の精神が横溢していなければなりません。個人個人の心に関する問題、すなわち、道徳や宗教がその支柱であります。また、議会民主政治は、国民大衆の希望の達成と苦悩の除去に敏速果敢であり、ことに、暴力の排除と平和の実現に対して最も積極的でなければなりません。これが高度福祉国家の真の姿であります。
ここに至る道は決して平たんではなく、多くの困難が予想されます。しかし、国民の団結と信頼を背景に、外交も、文教も、治安も、経済も、政治のすべてがここに集中するならば、必ずや輝かしい将来が約束されるものと確信いたします。このことは、一内閣の目標たるにとどまりません。私は、この信念のもと、みずからを省み、今後の精進を誓うものでございます。
昨年は、部分的核実験禁止条約の成立に見られるとおり、世界の緊張緩和に一歩を踏み出した年でありました。その背後には、キューバの危機が、東西両陣営を通じて核戦争回避の契機となったこと、安保体制下にあるわが国を含め、自由諸国の確固たる防衛努力のあったことを忘れてはなりません。一方、冷戦の意識から解放された各国が、それぞれの自国の利益を主張し、多元化の方向にあることも事実であります。この新しい動向に対処して、われわれは、共存の精神を基礎としつつ、世界の平和と人類の繁栄のため、冷静な判断のもと、英知と勇気をもって、わが国の置かれた環境と地位にふさわしい役割りを積極的に果たすよう心がけねばなりません。
今後変転を予想される国際情勢に応じて、私は、自由諸国との接触をますます幅広く、かつ多角的に進めていく考えであります。特に、自由諸国との協力のもと、世界経済発展のために積極的な寄与をいたす所存であります。そのためにも、わが国としては、開放経済体制を整備拡充するよう一段の努力を必要とするのであります。本年はOECDへの正式加盟、ガットにおける関税一括引き下げ交渉の本格化、さらに国連貿易開発会議への参加等を控え、わが国の対外的経済活動の真価を問われる年であります。私は、わが国がよくこの使命を果たすことによって、輝かしい国際的地位を確保し得ると信じておるのであります。
東西関係が緊張緩和に向かいつつあるとき、アジアの情勢は依然として不安と動揺を続けております。地域全体に対する共産勢力膨張の潜在的危険性、諸国民の強い民族主義的対立、さらには各国に内在する政治的、経済的、社会的困難等、そのよってくるところは根深く、かつ複雑であります。このような錯綜する不安定の根源を一朝にして除去することは、もとより不可能であります。私は、アジアの安定と繁栄を期するため最も肝要なことは、アジアとこれに隣接する西太平洋の諸国が一体となって進み得るよう、連帯関係の素地を育成強化することにあると信じます。それには、アジア諸国相互間の信頼関係が何よりも大切でありましょう。わが国としては、アジア、西太平洋諸国の間に国際正義と寛容の精神に基づく融和と協調が促進されるよう努力を惜しんではならないと考えます。この間にあって、わが国が、強固で品位ある民主主義国家として発展を続けることこそ、アジアの安定と繁栄に有形無形の貢献をなすものと確信いたします。
発展途上にある世界の諸国、なかんずくアジア諸国に対し、政府は、今後とも他の自由諸国と協調しつつ、各種の経済技術協力を行なうつもりであります。また、技術を身につけた青少年が、東南アジア等の新興国へおもむき、相手国の青少年と、生活と労働をともにしつつ、互いに理解を深めることを重要と考え、その準備を進めておるのであります。
日韓国交正常化の交渉は、両国当事者の忍耐強い努力にもかかわらず、いまだ妥結を見るに至っておりません。しかし、漁業をはじめ、残された諸問題の解決は、大局的な見地に立って、相互に熱意と良識をもってすれば決して困難ではないと思います。隣合った両国が一日も早く正常な国交を持つことが、両国国民大多数の共通の願望であることは、もはや疑いをいれる余地のないところであります。政府は、この輿望にこたえて、諸懸案の合理的な解決のため、さらに積極的な努力を傾ける考えであります。
伝統的に親善関係にある中華民国政府との間に、最近紛議を生じたことはまことに遺憾であります。中華民国政府とは友好的な外交関係を維持しつつ、中国大陸との間には、政経分離のもとに、民間ベースによる通常の貿易を行なうことがわれわれの方針であることもすでに明らかであります。私は、中華民国政府が、一日も早くわが国の真意を了解することを希望してやまないものであります。
中国大陸が、わが国と一衣帯水の地にあり、広大な国土に六億余の民を擁しておることは厳然たる事実であり、一方、中共政権に関する問題は、国連等の場における世界的な問題であります。私は、これらの認識のもとに、国民諸君とともに、現実的な政策を慎重に展開していきたいと思います。
ILO八十七号条約につきましては、でき得る限り早期にその批准を行なう基本方針に変わりはありません。すでに開会冒頭に関係法案とともに提出しておりますが、政府は、今国会において関係案件が成立し、同条約の批准が実現されることを切望するものであります。
さて、国家民族の繁栄をはかり、世界諸国民との協力提携を深めようとするわれわれの努力は、次代をになう青少年に受け継がれることによって一そうその成果が高められます。高い知性、豊かな情操、たくましい意思を身につけ、それぞれその能力と個性を生かし、進んで国家の繁栄と人類の福祉に奉仕せんとする気概は、青少年みずからがこれを養わなければなりません。青少年がかかる努力をなし得るよう環境を整備し、適切な指導を行なうことこそ、人つくり政策の根本であり、かねて政府が努力を傾けていることろであります。
最近、経済の繁栄に対して心の再建の必要を指摘する声は高まっております。善悪を判断できない社会は、いわば、人間の存在しない荒れ地であります。われわれにとって、民族の伝統に根ざす正しい価値観を確立することがきわめて大切であります。かくて初めて、われわれの創造的活力は、単に経済のみにとどまらず、政治、社会、文化、科学など、あらゆる分野に偉大な働きをなし得るものと考えます。私は、この観点に立って、道徳教育、家庭教育の充実強化、文化、科学の振興を一段と進め、家庭、学校、社会のあらゆる場において人間性の涵養をはかり得るよう配慮いたしたいと存じます。
国家的、民族的なものを通じて、世界的、国際的なものに達するという考え方を新しい意味で再発見すべきでありましょう。人種、宗教、政治の別なく、世界の人が一堂に集まり、平和と親善の実をあげるというオリンピックの精神もまたここにあるものと信じます。東京大会を迎えるにあたり、私は、青少年はもちろん、国民諸君のすべてがかかる精神を高揚し、大会を意義あらしめるよう衷心より願うものであります。
また、暴力の否定と法律等社会秩序の確立の上にこそ、真の自由と平和が保障されるのであり、小暴力といえどもこれを看過してはなりません。政府は、法を無視し暴力を行使するものには、警察力の強化と法の厳正な適用により対処する方針であります。国民諸君が暴力排除の気風を確立し、身近なところから人間尊重の機運が醸成されるよう期待してやまないものであります。
本年は、憲法調査会の八年にわたる審議の結果が報告される予定であります。私は、この機会に国会と民族の基本について国民諸君の理解が一そう深まることを期待すると同時に、世論の動向を十分に尊重し慎重に対処いたしたいと考えます。
行政制度についても、現在臨時行政調査会において検討を進められており、遠からず答申があるはずであります。行政制度とその運営が社会の進展に応じた効率的で前向きのものであることは、私の願うところであり、その改善に大きな希望を抱くものであります。
わが国経済は、昭和三十七年十月に引き締め政策が解除されてより、回復基調に転じました。三十八年に入ってからも予想以上の拡大を続け、三十八年度の経済成長率は、実質八%をこえ、鉱工業生産は対前年度比で一三%の増加となる見込みであります。
このような経済の上昇は、個人消費、財政支出等が引き続き堅調に伸びたのに加え、在庫投資の増大、設備投資の回復が見られ、総需要が全体として増大したことによるところが大きいのであります。輸出もまた、拡大された経済の基盤の上に予想を上回る傾向を示しております。また、過去の設備投資の結果、生産能力が大幅に増大し、企業が金融によって操業度を高く維持しようとしていることも、生産が高水準を続けている原因であります。
これら需要、供給両面の事情を反映して、輸入の伸びは輸出の増加を上回りつつあります。このような経済の拡大は、設備投資または在庫投資の行き過ぎにより国際収支の危機を招いた過去二回の場合とその様相を異にしており、個々の需要面の要素で特に行き過ぎた増大が見られるわけではありません。しかし、国際収支は、輸入の増加が輸出の伸びを上回っている上、米国の利子平衡税法案等の影響もあって問題を生じており、また、農水産物、対個人サービス、中小企業製品等の値上がりによる消費者物価の騰勢が弱まっていないことも見のがしてはなりません。
したがって、今後とるべき施策としては、絶えず国際収支及び消費者物価の動向に注意しつつ、総需要が適正な水準を越えないよう経済を引き締め基調で運用する必要がありますが、一方、近代化の立ちおくれている農業、中小企業の生産性の向上をはかることも重要な課題であるのであります。私は、政府、民間相協力して努力するならば、三十九年度のわが国経済は実質七%程度の安定した成長を達成し、この間に農業、中小企業の格差は縮小し、国際収支は逐次均衡化の方向へ向かい、消費者物価の動きも必ず安定基調を取り戻すものと信じておるのであります。
IMF八条国への移行やOECDへの正式加盟を目前に控え、わが国は、いよいよ本格的な開放体制へ移行するきびしい局面を迎えております。わが国経済がこの新しい国際環境に適応しつつ安定成長を確保していくためには、長期にわたる国際収支の均衡をはかることが最も肝要であります。特に最近における国際収支の悪化は、運賃支払いの増加等、貿易外収支によるところが大きく、しかもこの傾向は、貿易規模の増大につれて拡大するおそれがあります。
政府は、国際競争力強化のため、経済の質的強化を通じ、輸出の振興をはかるとともに、外航船腹の増強、観光事業の振興等、長期的視点に立った構造改善を積極的に推進して、国際収支の安定をはかる決意であります。なお、当面の国際収支の赤字に対しては、長期健全な外資の導入を促進するつもりであります。国民各位におかれましても、国産品の愛用、不用不急物資の輸入の自制等を通じて政府の施策に協力されることを期待いたすのであります。
消費者物価については、政府は、三十九年度中に安定基調を回復することを目途に、強い決意をもってあらゆる施策を結集してまいる考えであります。公共料金その他政府の規制し得る範囲のものについては、本年度中は値上げを行なわない方針を堅持いたします。また、財政金融政策の適切な運用、農業、中小企業、サービス業の近代化、流通機構の改善等をはかるほか、労働力の流動化、公正な価格決定を阻害する要因の排除、供給不足物資の増産、輸入政策の弾力的な運用等の施策を一段と強化し、これらの総合的な推進により消費者物価の安定を期する決意であります。
なお、物価水準を長期にわたって安定させていくためには、生産性向上の成果が、労使の力関係で企業利潤、賃金のみに分配せられることなく、国民経済的な見地から、価格の引き下げ等により消費者にも適正に均てんせられるよう、合理的な解決を期待するものであります。
農業の生産性と農業従事者の所得は、順調に向上しておりますか{前1字ママ}、農業は自然的、経済的、社会的制約が強いため、他産業の成長におくれがちであります。このおくれを取り戻すには、生産基盤の整備と技術の進歩が最も大切であります。
政府は、農業基本法に示された方向に従い、農地の流動化促進等による経営規模の拡大、土地改良など生産基盤の整備を推進するとともに、機械化をはじめ技術の革新を着実に推し進めて農業構造の改善をはかり、生産性の向上と総生産の増大を実現したいと存じます。また、需要の強い生鮮食料品の生産増加のため必要な措置を拡充することはもとより、中央卸売市場の整備、食料品総合小売市場の設置等流通機構の合理化をはかることといたしました。さらに、農林漁業金融公庫資金、農業近代化資金については、融資ワクを大幅に広げ、公庫資金の利率など貸し付け条件の改善、簡素化等の措置をとるほか、無利子の改良資金の貸し付けワクを飛躍的に増額することといたしております。
中小企業の近代化の目標は、人、技術、設備を三位一体とした総合的な経営力を養い、欧米先進諸国の中小企業に劣らず、少ない人手で高い生産性を上げ得る企業に発展させることであります。
政府は、中小企業基本法に示された方向に従い、設備の近代化、事業の共同化、技術水準の向上、流通経路の簡素化、小規模企業の経営改善等につき、画期的な施策を講ずることといたしました。なかんずく、設備の近代化については、低利かつ充実した財政資金の確保、信用補完制度の拡充等の措置をとるほか、中小企業金融全般について、質、量両面から必要資金の確保に配慮いたしたのであります。近代化のおくれておる商業部門を中心に、商店街ぐるみの近代化をはじめとして、店舗等の集団化、事業の共同化等の施策を積極的に行ない、人手不足に対処する経営の合理化と規模の拡大をはかってまいりたいと考えております。
社会保障は、西欧諸国の水準を目標に逐年努力を重ねております。政府は、この際、厚生年金保険、国民健康保険等の給付の改善に着手するとともに、生活保護や、老人、児童、母子、心身障害者等各種の福祉対策の一そうの充実をはかることといたします。また、租税負担については、所得税、住民税を中心に、国税、地方税を通じ、平年度総額二千百八十億円に及ぶ、従来にない画期的な減税を行なうことといたしました。さらに、立ちおくれの目立つ道路、鉄道、港湾、通信等の産業関連施設、住宅、下水道、し尿処理施設等の生活環境施設を中心とする社会資本の充実に格段の努力を傾注することといたしております。
最後に一言いたしたいと思います。
新しい年は、国際的にも国内的にも解決を待つ多くの問題をかかえております。これらの課題の克服の上にわが国の飛躍と発展が築き上げられることは言うをまちません。
日韓会談、OECDへの加盟、ILO条約批准等対外的諸懸案を解決して自主的な国民外向を展開し、わが国の進路を確定することが第一であります。また、経済の運営を誤らず倍増計画を国民生活に定着させることがその第二であります。内閣の基礎をなすわが自由民主党の近代化を推進し、公党の倫理性を高めるとともに、政治の基盤をなす選挙制度についても合理的な改正を行ない、議会政治に対する国民諸君の信頼にこたえることが第三の問題であります。オリンピック、IMF総会の開催など世界の関心が日本に集まるただ中で、これらの問題を解決するわれわれの責務はきわめて重大といわなければなりません。
以上の三つは、私が真剣に取り組まなければならぬ当面の課題であります。私は、世論を背景に、勇断をもってこの事に当たる覚悟であります。国民諸君とともに歩む道が、前進する歴史の法則にかなうものであることを心から願いまして、私の演説を終わります。
データベース「世界と日本」
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
[出典] https://worldjpn.grips.ac.jp/
시정방침연설
이케다 하야토
1964년 1월 21일
국민 한사람 한사람이 일하려는 의사와 뛰어난 창조력을 자유롭게 유감없이 발휘하여, 풍요롭고 평화로운 생활을 영위할 수 있는 사회를 만드는 것은 정치의 궁극적 목표입니다.
이를 위해서는 질병, 실업, 노령으로 인한 빈곤과 불행에 대한 사회보장이 확립되고 그 기초 위에 민족적 창조력이 약동하여, 부단히 진보와 성장이 약속되는 나라의 실현이 필요합니다.
여기에서는 개인의 존중과 자유가 보장되면서도 사회연대 의식, 공공봉사의 정신이 넘쳐 흘러야만 합니다. 개인 개인의 마음에 관한 문제, 즉 도덕과 종교가 그 버팀목입니다. 또 의회민주정치는 국민 대중의 희망 달성과 고뇌의 제거에 민첩하면서도 과감하게 하여, 무엇보다도 폭력 제거와 평화의 실현에 대해 가장 적극적으로 움직이지 않으면 안됩니다. 이것이 고도 복지국가의 참된 모습입니다.
여기에 이르는 길은 결코 평탄한 것은 아니며 많은 고난이 예상됩니다. 그러나 국민의 단결과 신뢰를 배경으로 외교도, 문교도, 치안도, 경제도, 정치의 모든 것이 이에 집중한다면, 반드시 빛나는 장래가 약속될 것이라 확신합니다. 이는 한 내각의 목표로 그치는 것이 아닙니다. 저는 이 신념 아래 스스로를 돌아보며 앞으로 정진할 것을 맹세하는 바입니다.
작년에는 부분적인 핵실험 금지조약의 성립에서 볼 수 있는 것과 같이, 세계가 긴장완화를 향해 일보 내딛은 해였습니다. 그 배경에는 쿠바의 위기가 동서 양 진영의 핵전쟁회피의 계기가 되었으며, 안보체제 아래에 있는 우리나라를 포함한 자유국들의 확고한 방위 노력이 있었던 점을 잊어서는 안 됩니다. 한편, 냉전 의식에서 해방된 각국이 각각 자국의 이익을 주장하여, 다원화의 방향에 있는 점은 사실입니다. 이 새로운 동향에 대처하여, 우리는 공존 정신을 기초로 하면서, 세계평화와 인류의 번영을 위해 냉정한 판단 아래 뛰어난 지혜와 용기를 갖고, 우리나라가 처한 환경과 지위에 적절한 역할을 적극적으로 다하도록 마음가짐을 가져야 합니다.
앞으로의 변전(変転)이 예상되는 국제정세에 따라, 저는 자유국들과의 접촉을 더욱 폭넓고 다각적으로 추진해 나갈 생각입니다. 특히 모든 자유국과의 협력 아래 세계 경제 발전을 위해 적극적인 기여를 하려고 합니다. 이를 위해서도 우리나라로서는 개방경제체제를 정비하고 확충할 수 있도록 더욱 노력할 필요가 있습니다. 올해는 OECD에 정식 가맹, 가트(GATT)에 따른 관세 일괄 인하 교섭의 본격화, 게다가 국제연합무역개발회의에 참가 등을 기다리며, 우리나라의 대외적 경제활동의 진가를 묻게 되는 해입니다. 저는 우리나라가 이 사명을 잘 완수함으로써 빛나는 국제적 지위를 확보할 수 있다고 믿고 있습니다.
동서관계가 긴장완화의 방항으로 향하고 있는 가운데 아시아 정세는 여전히 불안과 동요를 계속하고 있습니다. 지역 전체에 대한 공산세력 팽창의 잠재적 위험성, 각국 국민들의 강한 민족주의적 대립, 거기에 각국에 내재하는 정치적, 경제적, 사회적 곤란 등 다가오는 것들은 모두 뿌리깊고 복잡한 것들입니다. 이러한 복잡한 불안정성의 근원을 하루 아침에 제거한다는 것은 원래부터 불가능한 일입니다. 저는 아시아의 안정과 번영을 기하기 위해 가장 중요한 점은 아시아와 그 근접한 서태평양 각국이 일체가 되어 나아갈 수 있도록, 연대관계의 바탕을 육성하고 강화하는 것에 있다고 믿습니다. 그러기 위해서는 아시아 각국의 상호간 신뢰관계가 가장 중요할 것입니다. 우리나라로서는 아시아, 서태평양 각국 사이에서 국제정의와 관용의 정신에 기초하여 융화와 협조가 촉진될 수 있도록 노력을 아껴서는 안 된다고 생각합니다. 이 와중에 우리나라가 굳게 품위있는 민주주의국가로서 발전을 계속하고 있는 것이야말로, 아시아의 안정과 번영에 유형 또는 무형의 공헌을 하는 것이라 확신합니다.
발전도상에 있는 세계 각국, 그 중에서도 아시아 각국에 대해 정부는 앞으로도 다른 자유국들과 협조해 나가며, 각종 경제기술협력을 행할 작정입니다. 또 기술을 몸에 익힌 청소년이 동남아시아 등의 신흥국으로 향하여, 상대국의 청소년과 생활과 노동을 함께 해 나가며, 서로 이해를 깊게 할 것을 중요하다고 생각하며, 그 준비를 진행해가고 있습니다.
일한국교정상화 교섭은 양국 당사자의 강한 인내심과 노력에도 불구하고 아직 타결에 이르지 못하고 있습니다. 그러나 어업을 시작으로 남은 모든 문제의 해결은 대국적인 견지에서 상호 열의와 양식을 갖고 있다면 결코 어렵지 않게 해결할 수 있을 것으로 생각합니다. 이웃한 양국이 하루라도 빨리 국교 정상화를 이루는 것이 대다수 양국민 공통의 염원인 점은 더 이상 의심할 여지가 없습니다. 정부는 이 기대와 소망에 부응하여 모든 현안의 합리적인 해결을 위해 더욱 적극적인 노력을 기울일 생각입니다.
전통적으로 친선관계에 있는 중화민국정부와의 사이에서 최근 논란이 발생한 점은 정말 유감스럽게 생각합니다. 중화민국정부와는 우호적인 외교관계를 유지하되 중국 대륙과의 사이에서 정경분리 아래에 민간 베이스에 따른 통상 무역을 행하는 것이 우리의 방침인 것도 이미 밝혔습니다. 저는 중화민국정부가 하루라도 빨리 우리나라의 진의를 이해할 것을 희망해 마지 않습니다.
중국 대륙이 우리나라와 일의대수(一衣帯水)의 땅이며 광대한 국토에 약 6억인의 국민을 갖고 있는 것은 엄연한 사실이며, 한편, 중공정권에 관한 문제는 국제연합 등의 장에서 세계적 문제입니다. 저는 이러한 인식 위에 국민 모두와 함께 현실적인 정책을 진중하게 전개해 나가고자 생각합니다.
ILO의 87호 조약과 관해서는 가능한 빠른 시기에 그 비준을 행하려는 기본 방침에 변함은 없습니다. 이미 개회 초에 관계법안과 함께 제출했습니다만, 정부는 지금 국회에서 관계안건이 성립하여 동 조약의 비준이 실현되는 것을 매우 바라고 있습니다.
국가민족의 번영을 도모하고 세계 각국의 국민들과 협력·제휴를 깊게 하려는 우리의 노력은 다음 세대를 짊어질 청소년에게 이어짐으로써 더욱 그 성과를 높이 할 수 있을 것입니다. 높은 지성, 풍부한 정서, 강인한 의지를 갖추고 각각 그 능력과 개성을 살려 국가의 번영과 인류의 복지를 위해 기꺼이 봉사하려는 기개는 청소년 스스로가 이를 키워야만 하는 것입니다. 청소년이 이러한 노력을 할 수 있는 환경을 정비하고 적절한 지도를 하는 것이야 말로 인재양성정책의 근본으로, 전부터 정부가 노력을 기울이고 있던 것입니다.
최근 경제번영에 대해 마음 재건의 필요도 지적하는 목소리가 높아지고 있습니다. 선악을 판단할 수 없는 사회는, 이른바 인간이 존재하지 않는 황무지입니다. 우리에게는 민족 전통에 뿌리내린 바른 가치관을 확립하는 것이 매우 중요합니다. 그렇게 함으로써 비로소 우리의 창조적 활력은 단순히 경제에만 국한되지 않고, 정치, 사회, 문화, 과학 등 전 분야에 위대한 동력을 줄 것이라 생각합니다. 저는 이 관점에서 도덕교육, 가정교육의 충실강화, 문화, 과학의 진흥을 더욱 추진하여, 가정, 학교, 사회의 모든 곳에서 인간성 함양을 도모할 수 있도록 배려하고자 합니다.
국가적, 민족적인 것을 통해 세계적, 국제적인 것에 도달한다는 사고방식을 새로운 의미로 재발견해야 될 것입니다. 인종, 종교, 정치의 구별없이 세계인이 한 곳에 모여 평화와 선의의 열매를 거두려는 올림픽 정신 또한 여기에 있다고 믿습니다. 도쿄대회를 맞이하면서 저는 청소년은 물론 국민 모두가 이러한 정신을 고양하고 대회를 의미있게 만들어 나가기를 간절히 바랍니다.
또한 폭력의 부정과 법률 등 사회질서의 확립 위에서 비로소 참된 자유와 평화가 보장되므로, 작은 폭력이라도 하더라도 이를 간과해서는 안됩니다. 정부는 법을 무시하고 폭력을 행사하는 것에 대해서는 경찰력의 강화와 법의 엄정한 적용에 따라 처리할 방침입니다. 국민 모두가 폭력배제의 기풍을 확립하여 가까운 데서부터 인간존중의 기운이 조성될 수 있기를 기대합니다.
올해는 헌법조사회의 8년에 걸친 심의 결과가 보고될 예정입니다. 저는 이 기회에 국회와 민족의 기본에 대해 국민 모두의 이해가 한층 더 깊어질 것을 기대하는 동시에, 세론의 동향을 충분히 존중하여 진중하게 대처해갈 생각입니다.
행정제도에 대해서도, 현재 임시행정조사회에서 검토를 진행하고 있으며, 머지않아 결과가 나올 것입니다. 행정제도와 그 운영이 사회의 진전에 응하여 효율적이고 긍정적인 것임을 저는 바라고 있으며 그 개선에 큰 희망을 품고 있습니다.
우리나라 경제는 쇼와37(1962)년 10월에 긴축정책이 해제됨에 따라, 회복기조로 돌아섰습니다. 38(1963)년에 들어가서도 예상 이상의 확대를 계속하여, 38년도의 경제성장률은 실질 8%를 넘어섰으며, 광공업 생산은 전년도에 비해 13%의 증가를 보일 전망입니다.
이 경제 상승은 개인소비, 재정지출 등의 계속된 견실한 성장세에 더하여, 재고투자의 증대, 설비투자의 회복으로, 총수요가 전체적으로 증대한 것에 따른 점이 큽니다. 수출 또한 확대된 경제 기반 위에 예상을 웃도는 경향을 나타내고 있습니다. 그리고 과거 설비투자의 결과로 생산 능력이 대폭 증대되어, 기업이 금융에 의해 조업도를 높게 유지하려는 점도 계속해서 생산이 고수준으로 이어지는 원인입니다.
이러한 수요, 공급 양면의 사정을 반영하여 수입의 신장은 수출 증가를 상회하고 있습니다. 이러한 경제 확대는 지나친 설비투자 또는 재고투자에 따른 국제수지의 위기를 초래한 과거 2회의 경우와 그 양상을 달리하며, 개별 수요면의 요소에서 특히 지나친 증대를 보이고 있지는 않습니다. 그러나 국제수지는 수입의 증가가 수출의 신장을 상회하고 있고, 미국의 이자평균세법안 등의 영향도 있으므로 문제를 발생시키며, 농수산물, 대인서비스, 중소기업제품 등의 가격 상승에 따른 소비자 물가의 상승이 약해지지 않은 점도 놓쳐서는 안됩니다.
따라서 앞으로 취해야할 시책으로는 지속적으로 국제수지 및 소비물가의 동향에 주의하여, 총 수요가 적정한 수준을 넘지 않도록 경제를 긴축기조로 운용할 필요가 있지만, 한편으로는 근대화에 늦은 농업, 중소기업의 생산성 향상을 도모하는 것도 중요한 과제입니다. 저는 정부와 민간이 서로 협력하여 노력한다면, 39(1964)년도의 우리나라 경제는 실질7% 정도의 안정된 성장을 달성하여, 이 사이에 농업, 중소기업의 격차도 축소되고, 국제수지는 차츰 균형화의 방향으로 향하여, 소비자 물가의 움직임도 꼭 안정기조로 돌아설 것이라고 믿고 있습니다.
IMF 8조 국가로의 이행과 OECD 정식 가맹을 눈앞에 둔 우리나라는 드디어 본격적인 개방체제로 이행하는 긴박한 국면을 맞이하고 있습니다. 우리나라 경제가 이 새로운 국제환경에 적응하면서 안정된 성장을 확보하기 위해서는, 장기에 걸친 국제수지 균형을 도모하는 것이 가장 중요합니다. 특히 최근 국제수지 악화는 운임지불의 증가 등 무역외수지에 따른 점이 크며, 이러한 경향은 무역규모의 증대에 따라 확대될 우려가 있습니다.
정부는 국제경쟁력 강화를 위해 경제의 질적강화를 통해 수출 진흥을 도모함과 동시에, 외항선복 증강, 관광사업의 진흥 등 장기적인 시점에서 구조개혁을 적극적으로 추진하여, 국제수지의 안정을 도모할 결의입니다. 그리고 당면한 국제수지 적자에 대해서는 장기적으로 건전한 외자의 도입을 촉진할 계획입니다. 국민 여러분께는 국산품의 애용, 불필요하거나 급하지 않은 물자 수입의 자제 등을 통해 정부의 시책에 협력해주실 것을 기대합니다.
소비자 물가에 대해서 정부는 39(1964)년도 중에 안정기조를 회복하는 것을 목표로 강한 결의를 갖고 모든 시책을 집결할 생각입니다. 공공요금 등 정부가 규제할 수 있는 범위의 것에 대해서는 본 년도 중에는 가격상승을 하지 않는 방침을 견지하고 있습니다. 또한 재정금융정책의 적절한 운용, 농업, 중소기업, 서비스업의 근대화, 유통기구의 개선 등을 도모하는 외에도, 노동력의 유동화, 공정한 가격결정을 저해하는 요인의 제거, 공급부족 물자의 증산, 수입정책의 탄력적인 운용 등의 시책을 더욱 강화하여, 이러한 종합적인 추진에 따른 소비자 물가의 안정을 꾀할 결의입니다.
또한, 물가수준을 장기에 걸쳐 안정시키기 위해서는 생산성 향상의 성과가 노사간의 힘의 관계로 기업이윤, 임금에만 분배되지 않고, 국민경제차원에서 가격 인하 등으로 소비자에게도 적정하게 나뉘어질 수 있도록 합리적인 해결을 기대하는 바입니다.
농업 생산성과 농업 종사직 소득은 순조롭게 향상되어가고 있습니다만, 농업은 자연적, 경제적, 사회적 제약이 강하기 때문에 다른 산업의 성장보다 늦되기 마련입니다. 이 느림을 회복하기 위해서는 생산기반의 정비와 기술 진보가 가장 중요합니다.
정부는 농업기본법에서 제시한 방향에 따라, 농지 유동화 촉진 등에 따른 경영규모의 확대, 토지개량 등 생산기반의 정비를 추진하는 한편, 기계화를 비롯한 기술혁신을 착실하게 추진하여 농업구조의 개선을 도모하고 생산성 향상과 총생산 증대를 실현하고자 합니다. 그리고 수요가 강한 신선식품의 생산증가를 위해 필요한 조치를 확충하는 것은 말할 것도 없거니와, 중앙도매시장의 정비, 식료품 종합소매시장의 설비 등 유통기구의 합리화를 도모하기로 했습니다. 게다가 농업어업금융공고(公庫)자금, 농업근대화자금에 대해서는 융자틀(commitment line, 특정융자계약)을 대폭 넓혀, 공고자금의 이율 등 대부조건의 개선, 간소화 등의 조치를 취하는 한편, 무이자 개량자금의 대출 폭을 비약적으로 증액하고자 합니다.
중소기업 근대화 목표는 사람, 기술, 설비를 삼위일체로 하는 종합적인 경영력을 키워 구미선진국들의 중소기업에 못지 않은 적은 수고로 높은 생산성을 올릴 수 있는 기업으로 발전시키는 것입니다.
정부는 중소기업기본법에서 제시한 방향에 따라 설비의 근대화, 사업의 공동화, 기술수준의 향상, 유통경로의 간소화, 소규모기업의 경영개선 등에 대하여, 획기적인 시책을 강구하고 있습니다. 특히 설비의 근대화에 대해서는 저금리 및 충실한 재정자금의 확보, 신용보완제도의 확충 등의 조치를 취하는 한편, 중소기업금융전반에 대해 질, 양 양면에서 필요자금의 확보에 배려하고자 합니다. 근대화에 뒤늦은 상업부문을 중심으로, 상점가 전체의 근대화를 비롯하여 점포 등의 집단화, 사업의 공동화 등의 시책을 적극적으로 행하여 인력부족에 대처할 경영의 합리화와 규모의 확대를 꾀해가고자 생각합니다.
사회보장은 서구 국가들의 수준을 목표로 매해 노력을 거듭하고 있습니다. 정부는 이번에 후생연금보험, 국민건강보험 등 급부 개선에 착수함과 동시에, 생활보호나 노인, 아동, 모자, 심신장애자 등 각종 복지대책을 더욱 더 충실하게 해가고자 합니다. 또한 조세부담에 대해서는 소득세, 주민세를 중심으로 국세, 지방세를 통해 평년도 총액 2,180억엔에 달하는 종래에 없던 획기적인 감세를 행하기로 했습니다. 또한 낙후된 도로, 철도, 항만, 통신 등의 산업관련시설, 주택, 하수도, 오수처리시설의 생활환경시설을 중심으로 하는 사회자본을 충실하게 하고자 각별한 노력을 쏟아붓고자 합니다.
마지막으로 한 말씀드리고 싶습니다.
새해에는 국제적으로도 국내적으로도 해결을 기다리는 많은 문제가 있습니다. 이 과제의 극복을 통해 우리나라의 비약과 발전이 이루어 질 것임은 말할 것도 없습니다.
일한회담, OECD 가맹, ILO조약비준 등 대외적인 모든 현안들을 해결하여 자주적인 국민 외교를 전개하여, 우리나라의 진로를 확정하는 것이 우선입니다. 또한 실수없이 경제를 운영하여 2배증가 계획을 국민생활에 정착시키는 것이 두번째입니다. 내각의 기초가 되는 우리 자유민주당의 근대화를 추진하여, 공당의 윤리성을 높이는 동시에, 정치 기반이 되는 선거제도에 대해서도 합리적인 개정을 행하여, 의회정치에 대한 국민 모두의 신뢰에 부응하는 것이 세번째 문제입니다. 올림픽, IMF총회의 개최 등 세계의 관심이 일본으로 집중되는 가운데, 이 문제들을 해결할 우리의 책무는 매우 중대하다고 말씀드리지 않을 수 없습니다.
이상 세가지는 제가 진심으로 몰두하지 않으면 안되는 당면 과제들입니다. 저는 여론을 배경으로, 용단을 갖고 이 일에 임할 각오입니다. 국민 여러분과 함께 걸어가는 길이 진전하는 역사의 법칙에 걸맞은 것이기를 마음 속 깊이 바라며, 제 연설을 마칩니다.
データベース「世界と日本」
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
[出典] https://worldjpn.grips.ac.jp/